SimpleWize Part 2
情報とは何か
「情報」とは特別なことではなく、日常で見聞きしたすべてのことを指す。外部からの情報もあれば、体調の変化などの内部からの情報もある。ふと思いついたことも情報である。
このように「情報」とは広い意味で使われる場合もあれば、コンテクストに沿った特定の情報に使われる場合もある。どちらの場合でも、情報は同じ手順で処理される。異なるのは処理スピードだけだ。
情報にはいくつかの種類がある。大きく分けると、正確な情報と不正確な情報、必要な情報と不要な情報、期限がある情報と期限のない情報に分けられる。
情報の種類と判断基準
これらの情報については、前回までの記事で述べたが、簡単に確認しておこう。
1)情報の正確性とは、専門性、権威性、信頼性などで判断する(GoogleのE-A-T)
2)情報の要不要とは、汎用性とコンテクストから判断する(重要性と緊急性)
3)情報の期限とは、いつの情報かという有効性から判断する(発生日と取得日)
また、情報にはデータ、インフォメーション、インテリジェンスという分け方もできる。
・データとは、主に数値や現象などの事実を指す
・インフォメーションとは、データから選択した情報を指す
・インテリジェンスとは、インフォメーションをさらに組み合わせた情報を指す
例えば、台風が近づいていることを示すデータ、いつごろどのくらいの大きさで近づくかというインフォメーション、災害に備えて避難場所を確保するというのがインテリジェンスになる。
「インフォーメーションは、日本語ではお知らせや受付の意味で使われることが多いが、上記のような本来の考え方も知っておく必要がある。
情報処理の手順
前述の「データ > インフォメーション > インテリジェンス」のように、単なる情報(データ)を有効な情報(インテリジェンス)」に変えることを「情報の処理」という。
情報の処理手順を「情報収集 > 情報処理 > 情報発信」という流れで考えると、真ん中の「情報処理」には、情報の整理、加工、蓄積という処理が含まれている。
また「情報収集」で集めた情報と「情報発信」で伝える情報は、同じ情報とは限らない。ここで注意しなければならないのは、「情報」という単語に惑わされないことだ。
収集情報、加工情報、発信情報などのように、どのような処理が行なわれた情報なのかを常に区別して解釈しなければならない。
デジタル情報の処理
情報は口頭や書類、感覚や気分などのアナログ情報と、コンピューターなどで機械的に処理できるデジタル情報がある。昨今のDXやAIの急速な普及を踏まえてデジタル情報の処理についても理解が必要だ。
大雑把ではあるが、デジタル情報は「インプット > データベース > アウトプット」という手順で処理される。それぞれの段階でプログラムや変換が行なわれ、機械処理がされる。
例えば、インプットでは「あ」という文字はJISコード変換表で「2224」と数字に変換されて、機械処理され、さらにデータベースで単語に変換され、ディスプレイに表示される。
プログラムが高度になればなるほど、音声処理がされ、さらには、まるで人間が話しているかのような会話ができるようになる。それがAIであるが、考え方によっては超膨大な数字の塊とも言える。
人生後半戦に必要な情報処理スキル①:スマホ
人生後半戦になって必要な情報の処理について、「スマホ」と「リスキリング」について取り上げてみたい。
「スマホ」はスマートフォン(smartphone)の日本語通称名である。フォン(phone)が付いているので電話と考えがちだが、電話付きのコンピューターと考えたほうがよい。
電話の音声通話もデジタル処理され、数字として信号で送受信されている。コンピューターはキーボードで操作する機会ではなくなっているという事実を、まず理解しなければならない。
スマホの普及率は令和4年(2022)で、50代が95%、60代が85%、70代が56%となっている。スマホでのインターネット利用率は、50代が86%、60代が73%、70代が46%である。
インターネットを利用していると意識せずにスマホを使っている人もいるだろう。ただし、どんなアプリをどのくらいの頻度で使っているかは不明であるが、ハードが普及しているということは間違いない。
スマホの普及状況と利用実態
スマホというハードが普及している事実は、老若男女を問わず国民の多くがコンピュータを持っているということになる。
人生後半戦になると電話代わりのコミュニケーションツール(SNS、主にLINE)、動画や写真の閲覧用に使っている人が多いのではないだろうか。
それもそのはず、文字を扱うにはディスプレイが小さすぎるのだ。大きくすれば見やすくはなるが、操作性は落ち、表示範囲は狭くなるので使いずらくなる。
電話としての携帯性を優先させるので、ディスプレイの大きさには限界がある。したがって、自宅では相変わらずテレビを情報源や娯楽用に見ることになる。
コンピューターを持っていながらも、コンピューターとして使っていないのだ。パソコンを別に持っている人もいるだろうが、パソコンよりもスマホの利用頻度が高いことは容易に想像できる。
人生後半戦に必要な情報処理スキル②:リスキリング
人生後半戦を迎えた人を対象にリスキリングが行なわれるようになった。リスキリングとは、企業が従業員に対してスキルアップを目的として、従来のスキルの見直しと新たな技術の習得を目的としている。
リスキリングは仕事面での再教育、再訓練を指すが、再学習というリカレントや学び直し、生涯教育も人生後半戦には必要である。学生時代、組織の新人時代に受けた教育や学んだことは古くなっている。
過去に身に付けた教育や学習は未来を見据えて行われたはずだが、人生後半戦を迎えれば想定していた未来と現実が異なることは身をもって知っている。そこで現代を基準とした再教育、再学習が必要になるのだ。
もう1つ学ばなければならないことが「リテラシー」である。リテラシーとは読み書き能力を意味する用語なのだが、基礎知識と捉えたほうがよい。
「情報の処理」も現代の基礎知識の1つである。紙と鉛筆と電卓は古いたとえかもしれないが、実際にこれらの道具(ツール)を使う機会は少なくなってきている。
限られた時間と能力で情報処理を行うには
人生後半戦になると「時間と能力」の限界を意識するようになることは、再三述べてきた。限られた時間と衰える能力で、情報の処理を行うためにはどのようにすればよいのだろうか。
まず、考えられるのは他の人の手を借りるということになる。介護だけではない、仕事でも若手に仕事を振る、仕事を手伝わせるなどは今まで慣習になってきた。
ところが、他の人が少なくなっている現実を考えると、機械を自分で使うしかないのだ。
日常生活ではスマホが情報の処理の強い味方になってくれる。情報の収集、記録できるアプリ、情報を整理、並べ替えのできるアプリ、情報を発信、伝達するアプリなどはすぐにでも使える。
ただし、ディスプレイが小さいので、大きなディスプレイで表示する必要がある。パソコンやタブレットを既に持っているのであれば連携することをぜひ試してほしい。
もしお持ちでないのであれば、テレビにスマホを映し出す方法を試してほしい。
リスキリングと情報収集・処理・発信の重要性
さらに、リスキリング、リカレント、学び直しはもっと重要な挑戦になる。前述の「情報の正確性、要不要、期限」が大きく関わってくるからだ。
まず自分の持っている情報のどの部分をリスキリングなどの対象とするかによる。例えば、人生後半戦で関心があるとすれば、社会福祉制度の年金、医療、介護があるが、最新情報を得ているだろうか。
現在では、行政の最新情報はほぼインターネット上の公式サイトに掲載されている。PDF文書もあるので、スマホでは見にくい。パソコンなどの大きな画面での閲覧をおすすめする。
「情報収集 > 情報処理 > 情報発信」という手順も忘れてはならない。インターネット上で収集した情報を印刷して保存するのではなく、そのままファイルとして保存し整理したほうが後々便利である。
かつての、紙と鉛筆と電卓は、パソコンとファイルとインターネットに変わっているのだ。スマホで情報を整理したい場合は、カメラをもっと使ってはどうだろうか。
スマホの画面を画像にするスクリーンショットを使えば、スマホに写真として記録できる。方法はいろいろあるので、ご自分でも調べてほしい。
調べることこそが、リスキリングなどにはとても重要なことなのだから。
次回の記事は、「情報の加工と発信上の注意」についての予定。