3.4つの領域 (2)~記憶中枢領域とメタ思考モデルの視点

AIナビゲーター
SWAI

「記憶力は、あらゆる思考の宝庫である。」ー キケロ
「記憶は、物質的な脳の記録ではなく、我々の持続そのものである。(持続:不可分な連続性)」- ベルクソン

3つの働きを行う「記憶領域」

4つの領域 (1)では「インサイトパス、思考プロセス、行動プロセス」の3つの領域についてお話ししました。今回は「記憶領域」についてです。「記憶」はあらゆる情報を集積し、保管、保存を行う場所と一般的に考えられています。

「記憶領域」で行う記憶は、「覚える、思い出す、忘れる」の3つの働きを行います。「インサイトパス、思考プロセス、行動プロセス」の領域が情報の処理と加工を行う作業場所で、「記憶領域」が情報の保管場所のように考えることもできます。情報を持ち出すのが「思い出す」です。

このように考えると、情報を持ち出した後に、作業が終わるとすべて保管場所である「記憶領域」に戻すことはありません。作業で得た情報を記憶領域に戻し、元の情報を上書きするか、履歴情報として記憶領域に留め、「覚える」と「思い出す」の繰り返しが行われます。

上書きした情報が元の情報より大きい場合、履歴情報が増えていくと、使わない情報は自然消滅します。これが「忘れる」です。人間は意図的に忘れることはできずに、ほとんどが上書きをして記憶領域のスペースを確保します。

記憶情報のコントロールセンター

個人差があるものの、人間の記憶領域は限界があります。そのようなときはメモを取る、記憶から外部への記録に変換して情報を保持します。実際には、メモは忘れたときの念のためのことが多いのではないでしょうか。メモを取るときはインデックスをつけてとることが多かったのが、現在ではスマホにランダムに登録し、検索する方法が効率的になっています。

まったく情報がない思考も可能ですが、の場合の思考はすでにある情報から始まります。新たに外部から得る情報もあれば、新たに芽生える内部からの情報もあります。最も多いのは記憶領域の情報を元にして思考を始めます。

「インサイトパス、思考プロセス、行動プロセス」で必要から要求される情報を、「記憶領域」にあるどの情報が該当するかは、記憶領域で判断すると考えます。この時点で、記憶を選別し、関係情報を同時に他の領域に渡すコントロールセンターとしての役割を担います。単なる保管領域ではなく「記憶中枢領域」とするのは、このような役割があるからです。

「記憶中枢領域」につながるパイプ

「メタ思考モデル」は「インサイトパス、思考プロセス、行動プロセス」と「記憶中枢」の4つの領域で成り立っています。「インサイトパス、思考プロセス、行動プロセス」の領域は「記憶中枢」の領域と個別に繋がっています。

この繋がりをパイプにたとえると、太さと柔軟性が異なり、情報の量と速さによって柔軟性があるのが理想的です。覚えたのに思い出せない、でも後で思い出すという経験は誰でもあります。これはパイプの柔軟性が損なわれているのかもしれません。

「インサイトパス、思考プロセス、行動プロセス」は「記憶中枢」を経由してつながっていますが、直接的に繋がりを持つこともあります。これを思考のショートカットと考えることもできます。ただし、常にショートカットを使い、通常ルートになってしまうと、記憶中枢領域を通るルートを迂回ルートと認識してしまいます。記憶力が悪くなる原因にもなります。

「メタ思考モデル」で確認する

「メタ思考」と「メタ思考モデル」の違いは、メタ思考は視点の違いを示し、メタ思考モデルは視点の違いを定型化することで、自分の思考をモデルに当てはめて、現在の思考状況の確認をしやすくします。また、他の人の思考もモデルに当てはめることで、思考の論点がどこにあるかを把握しやすくなります。

「メタ思考」が行えるのと行えないとでは、現在の思考が全体の思考の中のどの部分を占めているのかの理解が異なります。重要なのか、緊急なのかを考えるときだけではなく、現在の思考が過去の延長なのか、未来に向けての思考なのかを判断するなど、目先の思考から視点を変えるときに役立ちます。

「SimpleWize」というメタ思考モデルは、現在の思考が「モヤっとした感じ」の段階なのか、「論理的な説明を行う」の段階なのか、それとも「行動に移そう、既に移している」の段階なのかを視覚的なモデルを使いながら考えることもできます。

メタ思考が不得意な「AI」

すでにAIを利用したことがある人の中には、AIに「メタ思考」で語りかけたり、指示を行う場合もありますが、AIはユーザーの思考をメタ思考で理解できません。そのため、「あなた(AI)は〇〇〇です。私(ユーザー)はXXXです。」のようにメタ思考を植え付けるようなプロンプトが必要でした。

現在のAIは、同じチャット(スレッド、プロンプト)で会話を続けると、会話のコンテキスト(背景・文脈)から、あなたのメタ思考に近づけて回答を行うようになってきました。これからさらに、この機能は進歩し、パーソナライズ化されるでしょう。