シンプルワイズな人生後半戦を送るための心がけとして3つの「間」があります。時間と空間については別の記事でお話ししました。3つ目の「間」は人間(関係)です。いわゆる「時間」は時計で計る時間で読んで字の如くです。「空間」は物体と物体の関係を測ることによって表します。いずれも1時間・1メートルのように数字で表すことができます。
仮想的な空間は自分の頭の中で疑似的に発生する空間です。同じ仮想空間でもコンピューターを利用した仮想空間は共有できるようになってきています。人と人の間に生じるのは時間や空間のような関係性ではありません。自分と他人との間にある関係性は自分と他人で一致するとは限らないのです。
人は常に変わり、関係性も変わる
AさんとBさんの関係は、AさんがBさんに抱いている関係性とBさんがAさんに抱いている関係性が完全に一致することは稀にしかありません。仮に一時的に一致したとしても時間が経てば変わります。朝礼暮改と言うように朝と夕とでは人は変わらなくても考えは変わるのです。
人間関係には1対1、1対複数、複数対複数という関係があります。複数は社会関係を表しますが、広い意味での社会ではなく少人数の社会関係も含みます。そもそも1対1の関係も2人で構成する社会関係ですので、1人きりで生きていくことを選択しなければ必ず人間関係が生じることになります。
ただ全世界のすべての人と人間関係を持つわけではないので、現在の人間関係を中心にして考えます。知人・友人・家族などお互いの情報をどのくらい交換しているかによって分類します。さらに過去に親しかった人とこれからも親しくしたい人に分けると自分の人間関係を把握できます。
現在では人間関係をビジネスに盛り込む方法も増えています。人間関係をビジネスに巧みに利用したのがネットワークビジネスです。利害関係と人間関係は異なりますので注意しましょう。
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義理と人情、ギブ・アンド・テイク
日本の人間関係の特徴は「義理と人情」に集約されます。義理も人情も個人がどう考えるかであって、人間関係の仕組みに取り入れて同調を促すための理由として使われています。集団性を重んじる日本人ならではの関係性です。義理と人情は小集団で尊ぶのはよいのですが、現在のように個人情報保護の下では相反することもあります。
義理と人情とは別に人間関係を「ギブ・アンド・テイク」に例えることもあります。本来は「おたがいさま」という意味なのですが、有形無形のものを授受するかのように使われています。確かに実生活では物理的なギブ・アンド・テイクは行われていますが、人間関係はそれだけでは成立しません。
人間関係は感情と理性の上で成り立っています。同じ波長の感情と理性の持ち主なら良好な人間関係を持つことができます。波長が大きく違う持ち主とは人間関係を無理して持つことはありません。良い人間関係だけが正しい人間関係ではなく、あえて悪い人間関係を持つことが正しい場合もあります。
誰とでも良い人間関係を持てると思ってはいけない一方で、良い人間関係を持てない人を攻撃したり蔑んだりするのはもってのほかです。
人生後半戦の人間関係はシンプルワイズに
人生後半戦は過去の長さの分だけ人間関係が多くなります。しかしながら同じ年代でも人間関係を多く持っている人と少ない人がいます。この違いはなぜ起きるのでしょうか。
それは人間関係を良い面だけを見て増やす人と悪い面だけ見て増やさない人の違いです。ほとんどの人は両面性がありますので、人生の時期によって多くなったり少なくなったりします。
また知人という希薄な人間関係が多い場合と親密な人間関係を重視する人との違いもあります。その他にも過去の人間関係を現在まで継続する人と過去は過去と割り切っている人の違いもあります。
人生後半戦は浅く広い人間関係よりも狭く深い人間関係を持つべきだという人がいます。人数や親密度で人間関係は推し量れません。もし自分が自分以外の他人になったときに、自分をどう思うかを客観的に考えてみるのも1つの方法です。
(つづく)