人生後半戦の情報発信 ~ 加工・アウトプット・発信の重要性

情報の定義と分類の確認

 

情報の処理手順の一般的な説明と人生後半戦の注意事項を今までに行ってきた。再度確認の意味で簡単に説明しておこう。

  • 「情報」とは仕事や生活に関わることや、特定の目的を持たない場合も含む。
  • 情報は「データ、インフォメーション、インテリジェンス」の3つに分類できる。
  • 情報の流れは「収集>インプット>蓄積>加工>アウトプット>発信」となる。
  • 人生後半戦は、情報処理能力が低下するので、能力に合った対応が必要になる。

情報収集の目的

情報の収集は目的がある場合とない場合がある。目的がある場合は、すでに情報の選択基準がある場合が多く、情報収集も的確に迅速に行える。しかし、先入観を持ってしまうこともある。

目的がない情報収集とは、情報収集を意識していないときに目に入ったり、耳にしたりする情報である。例えば、雑誌の一文が気になったり、友人の一言が切欠になったりするのは、無意識の情報収集である。

どちらの情報もインプットされ蓄積されるわけだが、目的がある情報は次の段階である「加工>アウトプット>発信」となる場合はよいのだが、蓄積されたままの場合もある。

蓄積されたまま情報は、好奇心や知識欲を満たした地点で情報収集の目的を終えてしまう。例えば、むやみに撮りためたスマホの写真、積ん読状態になっている本などだ。

他方の目的がある情報は、人に話したり、書に認めたりすることで新たな情報として蓄積される。ただし、この段階ではアウトプットはしたものの情報発信にはなっていない。

 

情報発信の目的

 

情報処理の手順は大きく分けて「収集>インプット>蓄積」の段階と「加工>アウトプット>発信」の段階に分けることができる。情報を加工する目的がアウトプットか発信かでも加工の仕方が異なる。

例えば、試験勉強は答えを導き出すことがアウトプットであり、アウトプットで情報処理が終わる。これが他の人に伝えることが目的となれば、どのように伝えるかまで考えた情報発信となる。

メディアを利用した情報発信は、書籍なら読者層、テレビなら視聴者層を意識しなければならない。情報受信者は、自分が属する層ではない情報発信を、情報の価値を見出せないと感じる。

情報を発信を目的とする場合は、それ以前のアウトプットや加工の方法も十分に持ち合わせなければならない。常に情報の受信者の立場に立って情報の発信を行うことが望まれる。

 

>>情報受信者に求められるリテラシー

一方、情報の受信者側も情報を正しく理解し、活用するためのリテラシーを持つ必要がある。

例えば、ニュースには政治、経済、社会などの様々な分野の情報が含まれている。これらの情報を正しく理解するためには、一定の語彙力と読解力が求められる。

情報の発信者はわかりやすい情報発信を心がけると同時に、受信者も自身のリテラシーを高める努力が必要である。発信者と受信者がそれぞれの能力を持つことで、情報が正しく伝わり、活かされていくのである。

 

「蓄積から加工」の能力

 

情報の処理には「収集>インプット>蓄積」と「加工>アウトプット>発信」の2つの間を行き来する能力が優れている人にしばしば出会うことがある。いわゆる「頭の回転の速い人」である。

情報処理の全体像を見渡すと、2つの間にある「蓄積から加工」の段階が重要であることがわかる。この段階では、蓄積された情報を目的に応じて選択し、再構成する能力が求められる。

「蓄積から加工」の能力は、意識的に訓練することで身につけることができる。

年齢を重ねると、新しいことを学ぶ意欲が減退しがちだが、常に好奇心を持ち、新しい情報に触れる機会を積極的に作ることが大切だと言われるのは、「蓄積から加工」の能力の衰えさせないためだ。

例えば、興味のある分野の書籍を読んだり、セミナーに参加したりすることで、新しい知識を蓄積できる。また、日常生活の中で直面する問題を、これまでの経験や知識に、新しい情報を加えて解決することなどがある。

大切なのは、趣味や日常の出来事から得た情報を、自分なりの整理・分類の方法を見つけ、それを日々の生活の中で実践していくことだ。

このような方法を繰り返し、必要な時に活用することで、「蓄積から加工」の能力を維持し、向上させることができるのである。

 

情報発信の注意点

 

加工した情報を発信する前に考えておかなければならないことがある。発信した情報の先には受信者がいることだ。どのような受信者が自分の情報を受け入れるのかを想定しなければならない。

想定した受信者をペルソナといい、その特性に合ったアウトプットするメディアや、情報の加工を行うというのが一般的な考え方だ。つまり「受信者>情報発信>アウトプット>情報加工}という逆の順になる。

私は加工した情報の最初の受信者は自分自身だと考えている。自分が発信する情報を、まず自分自身が理解し、納得していなければ、他の受信者に正しく伝えることは難しい。

 

情報発信のタイミングとメディアの選択

ただし、自分自身への情報発信は、完璧を目指すあまり、発信のタイミングを逃してしまっては本末転倒だ。自分自身が満足できる段階で、想定した受信者に向けて情報を発信することが重要である。

情報発信をするときには、タイミングやメディアの選択などのアウトプット方法も考慮しなければならない。ニュースのような速報性の必要な情報と、本質的で不変的な情報とではアウトプットの方法は異なる。

発信情報で最も注意しなければならないのは、発信後の情報の扱い方である。情報は発信した時点で自分のものではなくなり情報が独り歩きする。また状況や環境が変わり社会的に適さない情報になることもある。

そのときに、どのように対応すべきかも情報を発信した自分の責務となることを忘れてはならない。情報発信後の対応に正解はないが、忘れてはならないことだ。

 

人生後半戦の情報処理能力

 

人生後半戦になると情報処理能力の低下を感じることが多くなる。情報収集>インプットまではできるのだが、情報の蓄積が思うようにできない。記憶力の低下などは顕著な例である。

また、過去に覚えていたことが思い出せないことも目立つようになってくる。これは記憶力ではなく、記憶再現力である。人の名前や電話番号が思い出せないのがこれにあたる。

他にも文章がうまく書けない、計算力が落ちたなどは、情報の加工力が低下しているのかもしれない。ましてや、アウトプットや情報発信をすれば、話が長く、繰り返しが多いなど発信力の衰えも出てくる。

このような症状を防ぐために、数独やクロスワードなどが勧められている。ただ、実際には情報処理能力の低下を防ごうと考えている人は少ない。現象面だけをとらえているからだ。

このような年を取れば老化する、老化すれば頭の働きが悪くなるという固定観念が認知症につながるのかもしれない。「仕方がない」と思った時点で情報処理能力は低下の一途を辿ることになてつぃまう。

認知症予防と抗うのではなく、認知症になりやすい習慣からなりにくい習慣に変えるために、情報の処理手順を見直し、認知症になりにくい習慣を身につけることが重要である。