人生後半戦に見直すべき3つの「かしこさ」~ 知性・理性・感性のリバランス

今までに「かしこく生きる」について2つのことをお話してきました。

今回は「3つのかしこさ」についてお話していきます。

 

「かしこさ」と頭のよさ

 

「かしこい」からイメージするのは頭の良さではないでしょうか。

同じ世代に使う場合と違う世代、例えば、上司や年長者、後輩や子供に対して使う場合では意味が異なります。その他にも近年ではロボットやAI、ペットにも「かしこい」と使うことがあります。

「かしこさ」には知識が豊富であるという意味での知性、考え方が論理的であるという意味での理性、そして表現が上手であるという意味での感性があると考えられます。

知性、理性、感性は、それぞれ分けて使われる場合もあれば、同時に使われる場合もあります。また、環境や状況によっても、「かしこさ」の意味が変わってきます。

 

一般的に「かしこさ」は褒め称えるときに使われますが、年長者や子供に対して使うときには注意しなければなりません。まったく逆の意味になってしまうことがあるからです。

例えば靴紐を上手に結べたからと言って、年長者に対して使えば失礼になりますし、子供に対して使えば誉め言葉になります。むしろ年長者からは非常識と思われるでしょう。

 

知性は知識から、知識は何から?

 

「知性」の元になるのは知識です。知識の元となるのは情報で、情報の元になるのがデータです。仮に「知識 > 情報 > データ」という関係があるとすると、知識には階層があることがわかります。

データとは実際に起きた事象や数字で表せる客観的な事実です。知識はデータを基にした普遍的な考え方です。前述の靴紐の例では、靴紐を結ぶ動作がデータで、結び方を知っているが情報です。

データと情報を元にして人に伝える内容が知識になりますので、相手が大人か子どもかによって表現内容が変わります。この場合の知性とは状況によって表現方法を変えることを指します。

 

情報収集・情報集積・情報発信

知性を保つには、情報収集力と情報集積力(記憶力)、そして情報発信力が必要になり、各々の能力が高いことが望まれます。

注意しなければならないのは、データは同じでも情報への変換が誤っていたり、情報から知識への変換が誤ると知識として価値はなくなり、知性として他の人に伝える価値もなくなります。

近年ではフェイクや誤情報をもっともらしく流布するのは、知性とはかけ離れた行動になります。

 

理性と論理的な考えは同じか?

 

知性と理性は密接な関係があります。理性とは持ちうる知識を論理的に組み立てる能力です。前述のデータを情報に変換したり、情報を知識に変換したりする方法が理性になります。

理性を単に論理的に変換する方法と理解するのは不十分です。論理的に考える方法は一通りではなく、数多の方法があります。また、考える対象によって適切な方法を用いなければなりません。

さらに、論理的な思考法は、対象によって常に新しい方法が考案されており、方法によって結果が異なることさえあります。

身近な例では民間療法があり、「○○は体に良い」「△△はXXに効く」などは、科学的な根拠ではなく、経験や事実を汎用的に解釈した場合も多々あります。

 

順を追って考える

理性とは論理的に考えることですが、よりわかりやすい言い方をするのなら「順を追って考えること」です。人生後半戦になると、この順を追って考える力が時代に合っていないことがあります。

電話やFAX、電卓や書類というコミュニケーションツールや思考ツールの違いもありますが、根本的には変化を受け入れるという論理的な考えができないからかもしれません。

知性と理性には質と量によって評価が変わり、また2つのバランスのとり方によって「かしこさ」に違いが出てくることに留意するべきでしょう。

 

「かしこさ」と感性って、どういうこと?

 

知性と理性が「かしこさ」に関係するのは理解できるが、感性が「かしこさ」に関係するとは思わない人もいるかもしれません。

知性と理性がどんなに優れていても、知識や論理を受け入れられなければ価値を生みません。相手に伝えるときの仕上げには感性が必要になります。

学校で、特に大学で、授業を受けるときに、難しい話を難しく説明する先生がいます。当然のことながら生徒の受けはよくありません。同じ内容の授業を感性的に説明する先生の受けがよくなります。

生徒のレベルに合わせてわかりやすく、おもしろく説明する先生の受けがよくなります。この場合の「受け」というのは相手に伝わったかということです。

 

会議は知性と理性で、コーチングは感性で

仕事でも同じで、職場内の会議や取引先との会話でも、知性と理性以外にも感性が必要になるシーンが多々あります。

会議では、簡潔に、結論から話すのがよいとされていても、コーチングでは相手の立場に立ち、感性を交えて話す必要があります。

また、感性は情報を発信する側だけではなく、情報を受ける側にも必要になります。人生後半戦になると、情報の受け取り方が自分中心になりがちですので自覚しておきましょう。

 

 

次回は、今までの3つの記事のエポックとして私の経験をお話しします。