テトラモデル思考~AIが活躍する世界での思考と行動

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「知ることは、行うことの始まりであり、行うことは、知ることの完成である。」 ー 王陽明
「行動を伴わない思考は、挫折に終わる。思考を伴わない行動は、後悔に終わる。」ー ルソー

立体的な思考モデル

行動プロセス領域については、第1章で概要と他の領域との関係性について述べていますが、要点と要所を再度、確認します。

「行動プロセス領域」は「メタ思考モデル」の1つの領域であり、メタ思考の一部です。身体的な行動そのもののプロセスを指しているわけではありません。身体的行動を行うときに、どのような思考を行っているか、そのパターンを3つのモデルで示しています。

「テトラモデル」は、「メタ思考モデル」が平面上のモデルであるのに対して、立体的なモデルになります。双方とも正三角形の形状で表されています。メタ思考モデルは結果的に正三角形になったのであり、テトラモデルは正三角形を基にしてモデルを組み立てています。

正四面体のイメージ

テトラモデルの形状は、「正四面体」を基準としてイメージします。実際には思考モデルなので、物理的な形状ではありませんので、共通のイメージを持つ必要があります。

「正四面体の幾何学の定義は、4つの正三角形で構成する立体図形である。正三角形は3つの同じ長さの辺を持つ平面図形である。図形とは外部と内部の境界を持つ閉じた領域である。これらすべてを満たすのが正四面体である。」

よりイメージを行いやすくなるように、資料編に展開図を用意しました。大きな正三角形の各辺の中点を結ように折り込むと、立体図形としての正四面体になります。このように物理的な正四面体は厳密な定義がありますが、概念上の正四面体は形状のイメージだけで、必ずしもすべてを満たす必要はありません。

「行動プロセス領域」の時間

「行動プロセス領域」と「インサイトパス領域」「思考プロセス領域」との大きな違いは、「時間」の考え方です。「時間」は文字通りに「時と時の間」です。この「時」は開始時と終了時を表すこともありますし、日常で使う地球の自転や元素の周波数を基にして定める「時刻」の意味があります。

また、「時間は一方通行」と説明することもありますが、習慣のように繰り返す時間もあります。そして「時間」を認識するのは、生物として生きている間だけです。このように概念としての時間は1つのパラメーター(変数)だけではなく、「始点と終点がある、継続する、繰り返す」の3つの視点があります。

行動で得られるのは「結果」

「インサイトパス」では内外の思考情報に主観と客観のラベルを付け、様々なパスを経て、最終的には「意義」に到達するのが理想的です。「思考プロセス」は論理的な思考の展開を行い「結論」を導き出すのが理想的です。どちらのプロセスも最終段階まで至らないこともあります。

「行動プロセス領域」では、「記憶中枢領域」から意義や結論が移行され、行動の動機になります。そして実際の行動を行うことで得られるのは「結果」です。理想的な結論はあっても、理想的な結果はありません。視点を変えれば、結論は概念上であり、結果は現実だとも言えます。

では、AIはどうでしょうか。AIは論理的思考は概念上の結論だと言えるでしょうか。人間の論理的思考とは異なり、予想や期待を含めない、データをエビデンスとした予測がAIの結論です。したがって、現実的な論理的計算を行っているのです。

かつての南極探検でスコット隊は理想的な計画で、アムンゼン隊が現実的な計画で、その結果はどうなったでしょうか。

「行動プロセス領域」とAI

AIが「行動プロセス領域」に直接的に関わることは現時点ではありません。しかし、行動プロセス領域で使われる機器に埋め込み(embedded)され、普及に至るまでは時間の問題です。また、人間に最適化された社会に調和するようなヒューマノイドにもフィジカルAIとして搭載されるでしょう。

AIの活動範囲は、「インサイトパス領域」では統計的な計算結果によるパターン化した疑似的意思として、「思考プロセス領域」ではデータをエビデンスとして高度計算した論理的思考として広がっています。これらを自然言語で覆うことによって、本来は不可侵な領域まで活動範囲を拡大しつつあります。

「行動プロセス領域」では、幅広く埋め込み型AIとして活動範囲を広げるでしょう。本来は人間の判断後に行動するのですが、その判断もAIの判断に追従してしまうかもしれません。そのときの人間は、思いもせず、考えもせず、行いもせず、何をしているのでしょうか。

ケインズが「我々の孫の世代では一日わずか3時間、週15時間程度の労働で物質的な必要が満たされるだろう」と説いたのは理想論になったのかもしれません。AIもロボットも進歩はしますが、後退することはありません。人間は進化しますが、退化もします。することのなくなった人間は退化の道を歩むのでしょうか。

「テトラモデル」は何のため?

「行動プロセス領域」で行われる思考は、行動することに最適化された思考になります。したがって、自分の行動能力を超えた思考、継続的な行動を断絶する思考、人間的な人生を否定する思考とは相いれません。テトラモデルが完成形ではなく、その先の危険性も示唆します。

「何のために人間は働くのか?」と問われたときに、「生活のため、生きていくため」という答えはよく耳にします。では、「何のために人間は思考するのか?」を考えたときに、即座に「生きていくため」と答える人は多くないでしょう。

「テトラモデル」は生きていくための思考モデルのほんの一例です。これから「ワイヤーモデル、ソリッドモデル、コアモデル」の3つを提示しますが、「何のために?」を考えるきっかけになることを願っています。