9.メタ思考モデルネットワーク(2)

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人間に最適化された社会とは「思考」と「行動」で消費するエネルギーを最小限にできる社会を目指しているのでしょうか。
もしそうであれば、確かに「思考」と「行動」は効率的になっていますが、その一方で世界的なエネルギー問題が起きています。
これは「思考」と「行動」に大きなタイムラグがあるからです。

思考のゴールは結論、行動のゴールは結果

「記憶中枢領域」と「インサイトパス領域」、「思考プロセス領域」の関係はすでに述べました。また。「インサイトパス領域」、「思考プロセス領域」と「行動プロセス領域」との関係性についても触れました。今回は「行動プロセス領域」のメタ思考モデル内での特殊性と他の領域との関係性を中心に説明します。

「人間は何のために思考するのでしょうか?」と尋ねたときに「知識欲」と答えるのであれば、それは「なぜ思考するのか」の答えになります。人間は行動するために思考し、思考の結論の是非を確かめるために行動するのです。そして、行動の結果は是非を問わずに受け入れることが肝要です。ただし、命に関わることは後戻りができませんので、思考の「結論」の是非を必ず問うようにします。

思考のゴールは結論であり、行動のゴールは結果ですが、途中で中断する、止めるのも結果になります。行動は始めたら止まらない、という直線的な考え方は止めましょう。そのためには、行動中にも思考していることを認めることから始まります。

思考と行動の違いと社会の仕組み

思考と行動の対比は古くから行われ、知的労働者を表すホワイトカラー、肉体労働者を表すブルーカラーと長らく分離された認識がされていました。ときには、知的労働者が上位で、肉体労働者が下位のように扱われています。実際には、デスクワークか、フィールドワークかという働く場所の違いであって、労働者には変わりありません。

これ以外にも知識階級という表現があり、現代が知識社会でありながら、階級社会であることを意味しています。しかし、誰でも思考し、行動することを考えると、このような二律背反やヒエラルキーに分ける根本は、思考と行動の質の違いではないかと考えています。これは違いであり、上下関係を表すものではありません。

現代社会に至るまでに、過去には思考と行動の違いを社会の仕組に反映していました。それは、労働力が人間中心の時代の社会運営では効率的だったからです。このようにして人間に最適化された社会の仕組は、動力で稼働する機械が労働力の中心になり、思考においてはAIの登場によって人間の代替ができる分野も増えつつあります。思考と行動の質の違いよる社会の仕組のままです。

思考の質と量から時間を切り出す

今までの「思考→記憶→行動」という直線的な「行動は思考のゴール」ではなく、同じ平面上に「思考と行動」を繰り返す、または同時並行すると考えます。そのためには、行動するときの思考を新たに構築する、または再構築することが必要です。

メタ思考モデル「SimpleWize」では、4つの領域に上下はなく、同じ平面上にあります。あるのは「質と量」の違いだと今までは考えられてきましたし、これからもこれらの違いは続くでしょう。この質と量から「時間」を切り出すことで「行動プロセス領域」の思考法が理解できます。

「インサイトパス領域」では一時的、もっと短い瞬間の時間の思考です。「思考プロセス領域」では長時間、または時間を意識せずに考える思考です。「行動プロセス領域」では、リアルタイムの時間、継続する時間を意識する思考です。「記憶中枢領域」では思考情報を、これら異なる時間的特性を持つ領域間の稼働状況を鑑みながら分岐を調整します。

このように考えると全体の関係と、第2章の思考プロセス領域の思考として提示する「テトラモデル」の理解を深めることができます。

思考ではなく選択する未来社会

人間社会の発展は、科学技術と経済活動の発展によって支えられてきました。現在も発展し続ける一方で、世界の人口増加の限界、経済指標の増加率の衰えに加え、現在基準での高齢社会が恒常化する未来が待っています。これらの発展と限界のある未来になっても、現在のように人間の思考と行動の最少化(最小化ではない)を続けていくのでしょうか。

「思考と行動の最少化」は、現在は便利なモノやコトも、未来ではユビキタス化するか、陳腐化すると予想すると、人間は人間の進化を自ら抑制することにならないでしょうか。そのような社会は人間の自由な思考と自由な行動を極度に狭めることになります。

現在の世界情勢を見ても、思考の自由ではなく、思考の選択しかできない国々が増えつつあります。考えるより、選ぶ方が楽だ、と言う人もいるでしょうが、私はそうは思いませんし、考えもしません。自ら考えずに、AIが選ぶ選択肢を選ぶ社会にならないように、今から思考と行動のパラダイムシフトを起こしてはどうでしょうか。

第2章「テトラモデル」に続きます。