人生後半戦のお金の管理はシンプルに ~ 日常の管理と将来に向けて

20代で人生後半戦を意識した?

 

このブログのテーマは「人生後半戦は シンプルに考え かしこく生きる」です。このように考えるようになったのは、「人生後半戦」については20代で、「シンプルに考える」は30代で、そして「かしこく生きる」は50代になってからでした。

10代の終わりに腎臓病で長期入院を余儀なくされ、成人式は病院のベッドで迎えました。退院後も自宅療養で過ごし、友人より3年遅れて学校生活を終えました。就職もままならず、そのころから自分の人生を考えるようになりました。

当時の平均寿命は70代だったので、とりあえず人生の中間点まで生きようと考えるようにしました。これが「人生後半戦」を意識するようになった最初だでした。

 

人生における3つの基本的な考え方

 

これからの人生をどう過ごすかを考えたときに、自分の人生は「健康」が最重要事項になりました。正確には健康というよりも病気とどう付き合うかなのですが、病気というマイナスイメージではなく、プラスイメージである「健康」という概念を意識するようにしました。

次が人生後半戦の節目となる35歳までを一区切りとする「時間」の使い方について考えました。これも時間というよりは期間なのですが、長期視点で考えるようにして、そのあとで時間の使い方までドリルダウンを行いました。

3つめが「お金」についてです。学生生活は体に負担をかけることはできなかったので、いわゆる学生らしい楽しみを経験することはほとんどありませんでした。体に負担のかからないアルバイトをしても、使う術がなかったので貯金だけはありました。

新卒での就職はあきらめ、アルバイトを続けているうちに、正社員にならないかという声がかかったのです。最初は断りましたが、同じことをしても正社員のほうが時給単価が良いことがわかり、正社員として働くことにしました。

この段階で「健康、時間、お金」という3つの基本的な考え方が自分の中で定着しました。

 

人生後半戦は35歳から50歳へ

 

35歳になったときに次の節目を考えました。当時の平均寿命は80歳を超え、定年は60歳になり、時代は高齢社会から超高齢社会へ向かっていました。健康状態は悪くはありませんでした。

次の節目を60歳にしようとも考えましたが、60歳になって健康であるとは限りません。また、健康状態もその可能性を否定できるほどは良好とは言えませんでした。

そこで、人生の中間点を50歳として、もう一度「人生後半戦」を仕切りなおしました。つまり35歳から50歳の15年間に何をするかが人生の大きなテーマとなったのです。

人生前半戦が15年長くなれば、計算上は50歳からの人生後半戦も15年長くなります。そうなると人生後半戦の計画も変えなければなりません。時代の変化に対応した計画を立てなければなりません。

健康とお金は人生を何年と考えるかで計画が変わります。そして、お金の価値はその時の経済の動向によって価値が変わるので、定期的に計画を見直す必要があると考えていました。

 

日常のお金の計画と人生のお金の計画

 

日常のお金の計画と人生のお金の計画では考え方が異なります。日常のお金の考え方は、日々の収入と支出を基準とします。人生のお金の考え方は、未来の収入と支出の予測になります。

日常のお金の考え方は、人生を通して同じです。お金は価値交換の手段であり、モノやコトと金額を交換する媒体です。「お金」とは物理的媒体で、金額が書いていなければ紙と金属でしかありません。

お金にとって重要なのは金額です。金額は数字ですから、数字の計算ができる能力が必要になります。お金は収入によって増え、支出によって減ります。この単純原則がお金の計算の基礎になります。

「収入-支出」がプラスになれば黒字、マイナスになれば赤字です。黒字は翌日に繰り越せますが、赤字になれば価値の交換、すなわちモノを得たり、コトを経験はできません。ここまでがお金の管理の基本になります。

当たり前のことのようですが、人生後半戦が進むにつれて計算力や記憶力が衰え、日常の生活に支障が出てくるようになります。これは紛れもない事実で、お金の管理が不可能になるかもしれないのです。

 

虫の目、鳥の目、魚の目

 

「人生とは日々の生活の積み重ね」という考え方があります。確かにそうなのですが、それだけではありません。日々の生活は虫の目で、人生は鳥の目で見るという違いがあります。

虫の目とは複眼で近くをよく見る、鳥の目とは遠くから全体を見渡すという意味でつかわれる。もう一つ魚の目があり、流れを読み、近くと遠くをつなげる見方があります。

日々のお金の管理は「収入ー支出」で、言い換えれば「残高」の管理です。収入と支出がどのように行われていようとも、残高があればお金の心配はないとも言えます。

ところが、日々の収入が変動したり、定期的な収入の場合は、残高に余裕を持たなければなりません。支払いを先に延ばすことも可能ですが、現在の残高と本来の残高を二重に管理する必要があります。

現在では、現金と商品・サービスを同時に受け渡す、すなわち価値の交換が同時に行われる場合と、前払い、後払いが共存しており、それぞれ管理しなければなりません。

このような状態で、財布の中の現金だけで管理するには限界があります。

 

人生計画あっての資金計画

 

人生のお金の管理は、日常のお金の管理とは異なります。日々の「収入-支出」という考え方から、「現在の収入-未来のための支出」を行うことで、「未来の収入-未来の支出」という考え方ができるようになります。

日々の支出の中には、未来の収入を含めなければなりません。将来のための貯金、将来受給する年金のための保険料などが、これに当たります。未来の収入を現在の残高の積み上げと考えるよりも、現在の支出の1つとして考えるべきです。

人生後半戦における未来の収入の管理は、人生後半戦の計画を立てなければ未来の残高管理にしかなりません。人生後半戦になれば、収入と支出は大きく変化します。未来の状態はシミュレーションして考えるのが一般的です。

ライフプラン(人生計画)とファイナンシャルプラン(資金計画)は重要ですが、それ以上に、どのような人生計画を立てるかによって、必要な資金が変わってきます。

資金が不足すれば、人生計画は変更せざるを得ません。人生後半戦には、病気、介護、離職などの他にも長期ローンの返済もあります。仕事が終わってもお金の管理は続けなければならないのです。

大きな財産を持っている場合は、相続を含めて考えなければなりませんし、たとえ個人で管理できる範囲の財産でも客観的な管理方法が望まれます。

 

いつまで自分でお金の管理ができるか

 

お金の管理方法でもっとも良い方法は専門家に任せて正確を期することですが、自分自身で管理することで日々の残高を把握し、人生計画に反映するという調整をしやすくなります。

実際には、個人で自分の生活資金と人生計画の資金の管理を行っている人が多いと思います。手書きで行っている人もいれば、パソコンで行っている人もいるでしょうし、ネットで資金管理サービスを利用している人もいるでしょう。

人生後半戦が進むにつれて、個人で管理するのは徐々に難しくなってきます。それは加齢による計算力や記憶力の衰えもありますが、時代の変化に対応するための管理項目や管理手法の変更に対応できなくなるからです。

専門家でなくても、身内に管理を頼んだりすることもできるだろう。その前に行うべきことがある。それは自分で資金管理を行う場合は、客観的な管理方法で行うことだ。

そのためには、シンプルな管理を行えるように、資金種別ごとに口座の残高を把握する方法を明確にしておくことが重要になります。

このようなことは、資金だけでなく、不動産などの固定資産にも当てははまります。また、住宅ローンなどの負債を含む資産全般に渡って、包括的な財産管理を行うべきです。

お金の管理は包括的な財産管理の一部にしか過ぎないですが、仮に現金しか管理する対象がなくても、日常の管理と未来の管理とは別であることを理解すべきでしょう。

 

 

人生後半戦の計画は、長期的な健康管理を軸にして、資金管理を始めとした財産管理が必要になる。
病気や介護が始まれば、人生後半戦の計画を再計画しなければならないので、予めBプランも作成しておいたほうがよい。
終活も人生計画の一部であるが、バケットリストのようなやりたいことリストの他に、現実的な計画も必要である。
少なくとも自分の葬式費用は自分で払えるように別枠で管理しておきたいものだ。