人生後半戦を充実させる選択と基準~情報リテラシーを高めて、時代に適応する

SimpleWize Part 2

 

前回はシンプルに考えるために3つのことを示した。

・まず、メモする
・3つか4つに分類して保管する
・保存は分類せず1つにまとめる 

今回はこの3つを行うために、「選択」と「基準」という2つのポイントについての話になる。

 

選択はあらゆるタイミングで

 

現在のように世の中にありとあらゆる情報が溢れるようになったのは、インターネットの通信が光回線になり、インターネットに適したパソコンのハードとソフトが登場した2000年代半ばになる。

2010年代には文字だけでなく画像や音声を送受信することが標準的になり、あわせてスマホとSNSが普及した。これによって、多くの人が日常で使えるようになり、情報氾濫期を迎えることになる。

既存の4大マスメディア(テレビ、新聞、雑誌・書籍、ラジオ)も、インターネットで配信されるようになり、情報のカオス化が進んでいる。

多種多様で膨大な情報を個人がすべて取得することができるわけもなく、また取得する必要もない。そこで情報の「選択」という作業を行うことになる。

知らず知らずに私たちは情報の選択を行っているか、または選択された情報に触れている。情報の選択は、インターネットのみならず個人間の情報交換でも行われている。

 

選択の基準は人それぞれ

情報の選択を行う際には、何らかの基準が必要になる。しかし、その基準は人それぞれ異なる。

例えば、健康に関する情報を選択する際、ある人は医学的根拠のある情報を重視するかもしれない。一方で、別の人は実際に効果があったという口コミ情報を重視するかもしれない。

また、政治や経済に関する情報では、自分の価値観に合った情報を選択的に取得する人もいれば、様々な立場の意見を幅広く取得する人もいるだろう。

情報の選択基準は、個人の価値観、関心事、ライフスタイルなどによって異なるのが当然だ。大切なのは、無意識のうちに情報を取捨選択するのではなく、自分なりの基準を持って能動的に選択することである。

 

シンプルに考えるための選択と基準

 

前回の記事で、シンプルに考えるためには情報をメモし、3つか4つに分類して保管し、最終的に1つにまとめて保存することを提案した。

この一連のプロセスにおいても、情報の選択と基準づくりが重要になる。まず、メモする段階で、何を書き留めるべきか選択しなければならない。全てをメモしようとすると、かえって情報が煩雑になってしまう。

次に、メモした情報を分類する際にも、自分なりの基準が必要だ。例えば、「重要度・緊急度・関連性」や「仕事・生活・趣味」など、自分にとって意味のある基準で分類することが大切である。

最後に、保存する情報を1つにまとめる際も、取捨選択が求められる。長期的に価値のある情報、自分の生き方に影響を与える情報を厳選していくことになるだろう

このように「選択と基準」という作業は、ありとあらゆることで日常的に行われている。ここで注意しなければならないのが、選択の方法と基準のアップデートである。

 

Googleの検索ガイドライン「EEAT」と「YMYL」

情報を得る方法には、対面で、書籍で、インターネットでなど多くの方法がある。また情報源が個人か組織かにもよるし、1次情報・2次情報・3次情報のような分け方もできる。

このような情報の選別にGoogleは検索のガイドラインを(明確な基準ではないが)設けている。インターネットの検索こそ、私たちが今もっとも多く行っている選択ではないだろうか。

初期のGoogleは「高い専門性(Expertise)、権威性(Authoritativeness)、信頼性(Trustworthiness)」の3つで「EAT」と称していた。これに経験(Experience)が加わり現在では「EEAT」となっている。

さらに、人の健康や安全、経済的安定、社会の福利厚生に大きく影響する可能性のあるトピックについては、EEATを特に重視し、「YMYL(Your Money or Your Life)」と分類している。

ここで注目しなければならないのは、検索技術という選択方法を向上させるだけでなく、検索のガイドライン(基準)も時代に合わせて変化させていることである。

Google for Developers

Google のランキング システムは、ユーザーにメリットをもたらすことを目的として作成された有用で信頼できる情報をユー…

 

選択方法も選択基準も時代とともに変わる

 

私たちの日常の選択基準は、より安価で、より安全で、より高機能でというように、自分の目的に合致するように選択方法や選択基準を変えている。

ところが、日常の情報以外の分野では、保守的、固定的、属人的な選択基準に頼ってはいないだろうか。

記憶に新しいところでは、新型コロナについての情報は、過去の感染症の分類にこだわったり、ワクチンの有効性を属人的に判断したり、コロナ病床についても経済的合理性を優先させたりと、都合よく基準を選択する場合があったように思う。

また、現在の国際情勢の不安定さは、情報戦が大きな影響を及ぼしていると言われている。いわゆるフェイク情報という誤情報を選択させることで情報戦を制しようとしている。

現在の教育制度では、システムやプログラミング以外にも情報の本質とリテラシーを教えるようになっている。しかしながら、このような教育を受けないまま引退した世代は、情報リテラシーが不足したままである。

人生後半戦になると、リスキリングやリカレント、学び直しなどが奨励されているが、大前提として基本的な情報リテラシーの教育を本来は最初に受けるべきではないだろうか。

 

人生後半戦を豊かにする選択と基準

 

人生後半戦を豊かに生きるためには、情報の選択と基準づくりがこれまで以上に重要になる。なぜなら、人生の残り時間が限られている中で、本当に大切なことに時間とエネルギーを注ぐ必要があるからだ。

例えば、健康情報なら、科学的根拠があり、自分の生活習慣に取り入れやすいものを選択するのが賢明だろう。人間関係なら、自分の価値観を共有でき、互いに高め合える相手を選ぶことが豊かさにつながる。

人生後半戦の選択と基準は、若い頃とは自ずと変化するものである。体力や気力の変化、社会的立場の変化などを踏まえ、柔軟に見直していくことが大切だ。

 

情報リテラシーを高めるために

情報リテラシーを高めるためには、まず自分の情報の選択方法と選択基準を見直すことから始めよう。

日常的に接している情報について、なぜその情報を選んでいるのか、その情報は信頼できるものなのか、
別の視点からの情報はないのかなど、一度立ち止まって考えてみる。

そして、自分にとって本当に必要な情報は何なのかを改めて問い直してみる。人生後半戦では、若い頃とは違う情報が必要になっているはずだ。

情報リテラシーを高めるためのもう一つの方法は、情報の選択肢を増やすことである。普段とは違うジャンルの本を読んだり、異なる価値観を持つ人と議論したりすることで、新しい気づきが得られるだろう。

大切なのは、受け身の姿勢ではなく、能動的に情報に向き合うことである。与えられた情報をそのまま受け取るのではなく、客観的に評価し、自分なりの解釈を加えていく。

それが人生後半戦を生き抜く力になってくる。

 

シンプルに考え、大切なものを見極める

 

シンプルに考え、大切なものを見極める。それが人生後半戦を充実したものにする上で欠かせない心構えと言えるだろう。「情報の選択と基準づくり」は、その第一歩なのである。

人生後半戦に必要な選択と基準は、時代とともに変化していく。だからこそ、常に情報を収集することを怠らず、学び続ける姿勢が求められる。

与えられた情報に振り回されるのではなく、自分の人生をより豊かにする情報を選び取っていく。

このことが、人生後半戦を歩む私たちにとって、自分たちのためにも、次世代のためにも大切なことなのかもしれない。

 

次回は「大切なこと」とは何だろうという話をしてみたい。