人生後半戦をかしこく生きる ~ 未来志向の学びからシニアライフを考える

前回は自分ごとを多く書きすぎたという反省から、今回は私の周辺で起きたことをお話ししてみたいと思う。

50歳を過ぎると周りの景色が急に変わる。40代が若く見え、自分の周りには年寄りが増えたように感じる。

50歳になっても、まだまだ若いと思っている人もいるが、年齢は変わるわけもなく、基準をどこに置くかという違いだけである。

体力では負けない、思考力もある、経験だってあると考えると、メディアなどではよく言われるが、体力、思考力、経験も不要な時代になっていることに気がついていないかもしれない。

 

人生後半戦の2つのステップを理解することから

 

人生後半戦には2つのステップがある。年金制度を軸にした65歳を基準とする現役世代と引退世代というステップが1つめのステップだ。

2つめのステップは医療保険制度を軸にした75歳を基準とする後期高齢者と便宜的な名称の前期高齢者になる。

介護保険は40歳で加入し2号被保険者となり、65歳から1号保険者となる。文字通り高齢社会の介護を目的とした保険だ。人生後半戦には、このように坂道ではなく階段状になっている。

 

社会保障の高齢者関係給付費82兆円のうち、高齢者関係給付費が63%

 

人生後半戦の2つのステップは、社会保障給付費132兆円の内、高齢者関係給付費82兆円と63%を占めている。

年金は高齢者人口が増えれば自ずと増加し、人口予測と年金制度の歪みによって公費負担が大きくなっている。この歪みを是正する給付年金額を減額するか、公費負担の財源を増やすしかない。

医療保険と介護保険は、実際には70代になってからの利用、すなわち給付が多くなっている。また、介護保険は75歳以降の給付が多くなり、特に女性の利用が顕著になっている。

医療費と介護費の給付費を抑えるためには、とにもかくにも健康に留意し、自立した生活を行うように求められている。その一方で、健康であることが経済的、社会的に貢献できることは意識されていない。

 

日本の個人金融資産10年で3倍の2141兆円、高齢者の保有は1200兆円!?

 

個人金融資産とは現金だけではなく、株式、債券、投信なども含み、貯蓄の増加は1%に過ぎない。いずれにせよ、消費に回らないお金は国内経済に大きな影響はない。

この他にも、新型コロナ禍の給付金に端を発した強制貯蓄が20兆円あるという。日本人は貯蓄性向が強いと言われるが、バブル期には微塵も感じなかったに違いない。

メディアをはじめとして、みんながそう言っていると思わせぶりに語っているのかもしれない。個人金融資産がいくら増えても、残高を増やすだけなら、相続税で国庫に入るだけである。

お金持ちはますますお金が増えていき、格差は広がっていくばかりである。ちなみにアメリカの個人金融資産は1京7000兆円だそうだ。

 

高齢者の資産は何処へ ~ 相続税収は増えている

 

資産を保有している人が他界した場合、資産は原則として相続される。ケースバイケースなので一概には言えないが、相続控除を超過した資産額に相続税がかかる。つまり国庫に入るわけだ。

ここで気になるのが、高齢社会では高齢社会の人口が多く、相続を受ける世代の人口のほうが少ない。自ずと一人当たりの相続額が増え、相続税も大きくなる。潤うのは国庫である。

個人の資産を他人がとやかく言うことはできないが、相続人はともかく、国庫に入ったお金が相続人の遺志にかなうような使われ方がするとは限らない。

今後、ますます人口減少が進むことを考えれば、高齢者が保有する資産は、存命中も死後も有意義に使われることを高齢者自身が考えておかなければならない。

 

人生後半戦の学びとは

 

人生後半戦を「かしこく生きる」ためには学ぶことが必要である。年金、医療、介護に代表される社会保障制度、人口構造と保有資産、そして相続制度の3つは学ぶべきだろう。

生涯教育、学び直し、リカレント、リスキングなど、人生後半戦を対象にした学び方が唱えられている。本来はそれぞれの意味が異なるのだが、人生後半戦において必要な学びは「未来について」である。

「未来の○○○について」と考えると、より学ぶ対象が明確になる。過去からスタートして現在を経由し未来を考えるのではなく、未来からスタートする考え方が望ましい。

 

未来社会のために「かしこく生きる」

 

人生後半戦を「かしこく生きる」ということは、単に個人の幸福を追求するだけでなく、社会全体の未来につながる生き方を選択することだと考えている。

社会保障制度や人口動態、資産管理について深く理解することは一例であり、未来志向の学びを続けることで、次世代にとっても資産として価値がある。

固定観念や過去の経験にとらわれることなく、新しい視点と柔軟な思考を持ち続けることが重要である。積極的に社会に貢献していく姿勢を持つことが、真の意味で「かしこく生きる」ことにつながる。

この開かれた姿勢と継続的な学びこそが、人生100年時代を豊かに、そして意義深く生きるための鍵となるのではないだろうか。