人生後半戦を「かしこく生きる」ためには生産性よりも有効性を重視

高齢化率が29%を超え、超々高齢社会となった日本。1970年代にすでに高齢社会が進むと予測されていたにもかかわらず、根本的な対策が示されてきませんでした。

 

高齢社会に対して根本的な対策が行われなかったのは何故か

 

その理由は予測と現実のギャップです。過去の経験に基づく対策は、先送りや前例踏襲、責任回避が多く、対策を行うべきだった世代が今では高齢者になっています。

このままでは、高齢者を支える世代が疲弊してしまいます。 誰かが社会的な改革に取り組まなければなりません。その誰かとは、高齢者を支える若い世代のほうが、根本的な社会改革を行えると思います。

折しも「VUCAの時代」という不透明な時代になり、不透明な時代に生まれた若い世代は、過去と比較しないで新しいことに挑戦できるからです。

このように考えるのは、世代間の対立を煽ることではありません。 高齢社会が常態化する未来に向けて、何らかの対策をとる必要があることは、誰もが認めるところです。

高齢社会の改革は、日本全体の社会制度の改革につながります。 シンプルワイズは、そのような改革を支持します。

 

「人生後半=高齢者」ではないし、「高齢社会=高齢者中心の社会」でもない

 

日本の人口の約50%は50歳以上ですが、65歳以上の高齢者は29%です。高齢社会を正しく理解するためには「人生後半=高齢者」ではないということです。

高齢社会を構成するのは、高齢者ではない71%も含まれており、高齢社会=高齢者中心の社会」ではないことを理解する必要があります。

高齢社会には高齢者以外の人口の方が多く、すべての世代の人々が平等に、公平に社会生活を送る社会でなければなりません。

したがって、高齢者は高齢者を優遇する制度の見直しにも目を背けないようにしなければなりません。

例えば、75歳以上の後期高齢者医療制度にでは自己負担額が1割に優遇されています。現役世代との収入差、複数の病気、長期療養などが優遇理由となっています。(下欄参照)

しかし、税金と社会保障を合算した国民負担率と国家予算の推移を考察すると、税金と保険料の収入は現役世代からの負担が大きくなっています。(下欄参照)

結論はすでにわかっていることで、国民全体の「収入を増やす」しか方法がありません。

その中で、高齢者ができることは医療と介護などの社会保障費を増やさないように、心身ともに健康寿命を長くすることです。

 

理想的なライフスタイルではなく、社会に貢献するライフスタイル

 

高齢者のライフスタイルを考えるとき、理想的なものが求められることがあります。自分の強みや経験を活かす、趣味や旅行に時間を割く、家族や友人との交流を増やすなどです。

しかし、これらは高齢者の消費を促すだけでなく、経済的・健康的・人間関係的な制約がある場合も多くあります。両親の介護や、自発的な行動が苦手なども考えられます。

理想的なライフスタイルよりも、現実的なライフスタイルの確立を先に行わなければなりません。

例えば、スマホの利用は、新しいことにチャレンジする代表的な例です。スマホは、電話以外の生活に役立つ多くの機能があります。文字によるコミュニケーションで、聞き間違えや伝え漏れを防いだりすることもできます。

しかし、スマホには新しいことへの拒否感や操作の難しさ、詐欺や個人情報の漏洩の恐れ、画面の小ささなど、使わない理由があるかもしれません。

大切なことは、今までの固定電話と同じように、社会の標準的なインフラになっていることを理解する、理解してもらうことです。

新しいことにチャレンジすることは、自分のためだけでなく、社会のためにもなるのです。

 

高齢社会では、高齢者は生産性ではなく有効性を重視しなければならない

 

高齢社会の課題として「労働人口の減少」が指摘されています。この課題をカバーする労働人口を増やすために、高齢者の労働市場への参加が促されています。(下欄参照)

高齢者が労働力として稼働するために求められるのが「生産性」です。一般的に生産性は、投入量に対する産出量の割合として示されています。生産性を上げるには投入量を減らすか、産出量を増やすことになります。

生産性を上げるためには、投入物や産出物を変える、投入方法や産出方法方法を変える、すなわち効率化することによって可能になります。

効率化は、高齢者が必ずしも生産性を上げることに寄与できない原因となります。

生産性に求められるのは「量」だけではなく「質」もあり、効率ではなく効果も重視します。この「効果」が生産活動における「有効性」となります。

例えば、産出量が100から120に上がったとしても、質が低下していたのでは生産性が上がったとは言えません。高齢者が労働市場に参加することに期待されているのは「量」ではなく「質」です。

これは生産現場だけではなく、サービスやボランティアでも同じです。もし、期待されている質を提供できない場合は、量を提供する方法が選ばなければなりません。

量と質、生産性と有効性を考えるときにはバランスすだけではなく、現状より低下しないことが重要です。

 

 

人生後半には、現役として働くシニア世代、年金の受給が始まるシニア世代、後期高齢者となる多様なシルバー世代に分けられることは、過去の記事で説明しました。
シンプルワイズでは「人生後半をかしこく生きる」ために、人生後半のすべての世代を対象に「生産性と有効性の客観的な見直し方」を提案していきます。