人生後半戦に必要なのは「賢さ」ではなく3つの「かしこさ」である

人生後半戦を生きるために必要な「かしこさ」

 

1月は「人生後半戦」について、2月は「シンプルに考える」について、お話ししてきました。3月はこのブログの3つめのテーマである「かしこく生きる」についてお話しします。

人生前半戦は、毎日の学習と経験を積み重ねることによって成長する時期です。一方、人生後半戦は、遅かれ早かれ終わりから逆算して毎日を送るようになります。

人生の終わりから遡って考えるには、残りの時間を大切にすることが肝要になります。そのためには、シンプルに考えて行動に移すことが大切です。

ここまでが今までの話の概要です。これからお話しすることは、「人生後半戦」と「シンプルに考える」の次の段階になります。

人生で一番重要なことである「生きる」と、そのために必要な「かしこさ」を持ち続けることについて考えてみたいと思います。

 

 

人生後半戦における「かしこさ」とは?

 

「かしこく生きる」とは、何をするか、どのようにするか、ということではありません。具体的な行動は自分で考え、実行することが必要です。

人生後半戦に至るまでの道のりは人それぞれで異なりますので、「〇〇すべきだ」「好きなことをしなさい」と言い切ることはできません。ともすれば、今までの人生を否定することになりかねません。

過去の人生が良ければそれで良し、悪いと思うなら良い経験として捉え方を変えることが「かしこさ」の1つになります。ポイントは「変える」というかしこさを安易に否定しないことです。

「かしこさ」とは学校教育のような記憶と計算力中心の賢さではありませんし、仕事経験のような実践的な賢さでもありません。人間の可能性や人生の可能性を信じ、可能にする力を指します。

あえて「かしこさ」とかな書きにするのも、いわゆる、賢さと違う考え方であるということを強調しています。どんな人でも「かしこさ」を持っています。

それを人生後半戦に、シンプルに考え、発揮できるかが重要になります。

 

 

時代とともに変化する「かしこさ」の意味

 

「かしこさ」にはいろいろな側面があり、前述の教育的側面や仕事的側面での賢さを意味することが多いと思います。このよう「賢さ」は良くも悪くも「良い成績」の意味で使われます。

最近では、世界の中でに日本の立ち位置がバブル景気以降は下がる一方です。なかでも日本の大学ランキングやGDPが下がったことの原因を人間力の衰えとする論調があります。

このようなことを目にするたびに、「かしこさ」に対する考えた方に疑問を抱いてきました。「人間力=かしこさ」ではなく、世代が違うと意味が変わってきます。

例えば、かつては人間関係や読書などによる知識が豊富なことが賢さの象徴でしたが、現代ではこれにインターネットによる情報とグローバルな知識を抜きにして賢さは語れません。

人生後半戦においての「かしこさ」は、人生前半戦の「賢さ」とは異なります。年齢だけでなく時代の変化も大きく「かしこさ」の意味に影響するからです。

 

参考までに、内閣府「人間力戦略研究会」と経済産業省「人生100年時代の社会人基礎力」の記事をお読みください。

 

 

理性・知性・感性が「かしこさ」に表れる

 

人間力は人格によって表れ、人格は「理性・知性・感性」によってバランスがとられています。そして、真の「かしこさ」とは、このバランスの上に成り立っていると言えるでしょう。

理性は、論理的に考え、正しい判断を下すための土台となります。知性は、知識や情報を学び、理解することで、視野を広げ、選択肢を増やします。

そして感性は、他者の気持ちや状況を理解し、共感することで、人間関係を円滑にし、協調性を高めます。

これらの能力がバランスよく備わっていることで、状況に応じて柔軟に考え、行動することができるようになり、「かしこさ」につながります。

「かしこさ」とは、単に知識量が多いことや、問題解決能力が高いことだけではありません。それ以上に、人間としての成熟度や、周囲との調和性を表すものでもあります。

ただし、「理性・知性・感性」だけでは、行動力に結びつきません。別の視点からも考える必要があります。

 

 

思考力・行動力・伝達力、3つの「かしこさ」が共感と寛容を生む

 

「かしこさ」を別の視点から捉えると、「思考力・行動力・伝達力」という3つの要素に分けられます。前述の「理性・知性・感性」は思考力に当てはまり、行動力に反映されます。

伝達力とは行動力に1つであり、とくに人間関係や集団として行動するときに必要になります。「かしこさ」は思考力にとどまらず、行動力と伝達力がともなって社会的な広がりを持つようになります。

漢字で表す「賢さ」は個人に対して賢明さや明晰さを表しますが、「かしこさ」は個人だけではなく、周囲にも影響を与える意味を含めています。

また「かしこさ」をより深く考えると、相手に影響を与えるだけでなく、相手の考えを受け入れる寛容さを持っていることも忘れてはなりません。

このような「かしこさ」は生まれながらにして持つよりも、長い経験によって培われる「かしこさ」です。人生後半戦に必要な「かしこさ」の1つです。

 

 

 

学校教育で得られる賢さは賢明さを意味し、「かしこさ」が意味する思慮深さの一部でしかありません。
「かしこさ」は自ら学び、身に付け、必要な時と場所で発揮できる能力です。