人生を生まれてから死ぬまでとする考え方もありますが、死後でも人生が続くという考え方もあります。
かつては口頭による伝承で、文字がで発明されてからは書物によって、そして現代ではネットを用いて既に死んだ人について語られています。
「虎は死して皮を留め、人は死して名を残す」という故事成句があるように、人生は死んでからも、あたかも生きているかのように語られることがあります。
しかし、シンプルワイズでは、死んでからも名を残す生き方をしようと提唱しているわけではありません。
死んでから名を残すかどうかは、自分の人生にどんな価値観を持っているかによって変わります。名声や功績にこだわる人もいれば、自分の幸せや家族の笑顔にこだわる人もいます。
シンプルワイズでは、どちらの価値観も否定しませんが、むしろ「生きる」ことに意味を見出すのが人生の本質だと考えています。
寿命によっても人生の考え方は変わる
2022年の平均寿命は、男性が81歳、女性が87歳です。平均寿命は0歳の時の平均余命ですので、80歳になった時の平均余命はというと、男性が+8歳で89歳、女性が+11歳で91歳となります。(下欄参照)
人生100年時代と言われて久しきなりますが、名実ともに100歳までの人生を考える時代になってきました。ちなみに中間点である50歳の平均余命は男性が+32歳で82歳、女性が+38歳で88歳と平均寿命大きくは変わりません。
人生100年時代になると、第二次世界大戦以前の人生50年時代とは考え方が変わっても不思議ではありません。もっとも平均寿命が延びたのは、出産時や乳児の死亡率が低くなったことが一番の要因です。(下欄参照)
戦後の社会復興や食糧需給の改善だけが良い影響を与えたわけではありません。むしろ生活習慣病が悪影響を与えるようになったのですが、医療の進歩で寿命が延びてきました。
老化の研究も進んでいますが、寿命が飛躍的に延びることは想像しにくく、これからは人生を100年と考えて人生計画、ライフプランを立てることが必要になります。
人生におけるライフステージ
人生100年時代のライフステージは緩やかに上り下りするのではなく、人生のイベントごとに階段状に上り下りが生じます。また、明確にステージが変わることもあれば、並行してステージが続くこともあります。
<人生の始まり - 人生前半> 教学と成長のステージ 0‐25歳:Individual Growth Stage - 個人の成長に重点を置く時期(教学世代) 25‐50歳:Social Growth Stage - 社会との関係性を保ち成長する時期(現役世代) <人生の折り返し - 人生後半> 過去のステージを見直し、未来にへむステージ 50‐75歳:Social Senior Stage - 人生計画を再確認し、経済と社会への貢献を行う(シニア世代) 75歳以上:Elderly Silver Stage - 年齢ではなく健康状態で分類(シルバー世代) <人生の終わり- そして After Stage へ> |
年齢は目安であり、各ステージの年齢が重複しているのは、統計上の基準ではなく、各ステージの目安を分かりやすくするためです。各ステージの期間は固定ではなく、個々人によって異なります。
本人が自分のステージを知るための参考として提示しています。ただし、法律や制度で決まっている場合は、自分でステージを決めることはできません。
人生を俯瞰し、自分で現在のステージを位置づける
人生後半を考える上で、やはり人生全体の考え方も必要です。同じ10年でも、10代の10年と50代の10年では感じる長さが違います。
では、人生後半を考えるときには、どのようなポイントに注意すべきでしょうか
まず、生まれてから20代までが教育を中心とした世代です。これからは知識を得るためだけの教育ではなく、「学ぶことを学ぶ」世代です。
「教学世代」としているのは、教育だけでなく学習も大いに行うべき世代どいう意味で「教学」としました。
この時期が個人の成長であれば、20代から50歳までは、個人の成長の上に成り立った社会的成長期で、社会を学び成長する「SG世代」と名付けています。人生前半は「学びと成長」の時期と考えます。
50歳を人生の折り返し地点とし、単に過去を振り返るだけでなく、これから未来へ持ち続けるモノやコト、経験とスキルを選択する機会になります。「ゼロ思考」で考えることもできます。
50歳から人生後半が始まり、75歳までを社会的なシニアとしての自覚を持つ時期です。シンプルワイズが主に伝えたいステージで「SS世代」と名付けています。
75歳以上は年齢とは関係なく、自己判断と客観的判断の差を受け入れる時期となります。どのような差があり、どのように対応するかは千差万別です。
人生後半は75歳を基準として考える
人生後半は、人生前半とは異なるライフスタイルを持つことが求められます。人生後半を緩やかな坂道のように下る人もいれば、階段を降りるようにイベントごとに違うステージに向かう人もいます。
どちらの場合も、心身の健康状態の衰えは避けられません。それが加齢によるものなのか、病気によるものなのか、それとも両方なのかは判断するのは難しいです。
統計的には50歳を過ぎると、悪性新生物・心疾患・脳血管疾患による死亡率が高まり、70歳を過ぎると要介護認定を受ける人が増え、80歳を過ぎると認知症の有病率が高まります。このような統計上の事実を踏まえて、人生後半のライフスタイルを見直す必要があります。
「最近のお年寄りは元気になった」「高齢者はもっと働くべきだ」などの見解もしばしば耳にしますが、自分も周りの人もそう思っていても、突然、健康状態が悪化することがあります。つまり高齢者が元気になっても、リスク付きの元気さであることを忘れてはいけません。
人生後半のライフスタイルを見直すためには、過去の経験や習慣に固執するのではなく、将来の見通しを立てることが重要です。
例えば、平均寿命が延びても、長生きすることが目標ではなく、長く健康でいることが目標になります。お金を稼ぎ貯めることよりも、上手に使うことを考えることが大切です。人間関係も広げるのではなく、交際は狭く交流は深くすることが望ましいです。
過去の見直しに偏ったライフスタイルは、将来の変化に対応できなくなる可能性があります。そのため、将来の見通しを立てた上で、ライフスタイルを見直すことが必要です。
このように人生後半は人生前半と異なったライフスタイルを持つようにするのが、これからの人生後半のライフスタイルの考え方です。
人生後半は75歳を基準として考えるというのは、一つの目安です。人生後半の始まりは、年齢ではなく、自分の心身の状態や生活の変化によって決まります。
人生後半は、人生前半とは異なるライフスタイルを持つことが、これからの人生をより豊かにするための秘訣です。
2022年の平均寿命、平均余命 令和4年簡易生命表の概況 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life22/dl/life22-15.pdf
平均余命の年次推移 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life10/sankou02.html