「人生後半戦」は、新たな視点で時代の変化を受け入れる

人生後半をどのように生きていくか

 

シンプルワイズ(当ブログ)のテーマは「人生後半戦は シンプルに考え かしこく生きる」です。今月は「人生後半戦」について考えていきたいと思います。

「人生後半戦」とは、「人生後半」に「戦」が付いていることから分かるように、単に人生後半という期間を示すのではなく、人生後半に何を行うかという意図を込めています。

そして、「戦」は争いではなく、挑戦する、すなわち何かに挑むという意味です。私たち一人ひとりが「人生後半戦」をどのように生きていくかを問いかけていくのが、このブログの目的です。

 

VUCAの時代と高齢者の意識

 

折しも、新型コロナ禍は収束に向かっています。新型コロナ禍を境にして、時代が変わったことに気付いている人も多いと思います。

第二次世界大戦後の経済成長期を謳歌した昭和時代、その反動で失われた20年、30年ともいわれる経済が停滞した平成時代、そして天皇自らが時代に終わりを告げた矢先に、世界中が新型コロナ禍という危機に直面しました。

さらに新型コロナ禍だけではなく、世界情勢も不安定になり、エネルギーを始めとした国際貿易にも大きな影響を与え、現在でもその影響は続いています。

このような不透明な時代を、Volatility:変動性、Uncertainty:不確実性、Complexity:複雑性、Ambiguity:曖昧性の頭文字をとって「VUCAの時代」と呼んでいます。

新型コロナ禍の初期には、いつになったら元の日常に戻るのかと考える人と、これを機に社会が変わるのではないかと考える人がいました。

私の知る限りでは、高齢の方が元に戻るのかという考えが多く、若い世代の方が社会が変わるのではないかという考えが多かったような気がします。

いずれにせよ、時間の流れは一方通行で、元に戻ろうが、変わろうが、時代は進みました。

 

新型コロナ禍は待期期間だったのか

 

時代は常に変化しており、平和な時代もあれば、争いや災害が絶えない時代もあります。どんな時代でも、その時代に生きる人々にとって、時間は一方通行で流れていきます。

VUCAの時代においても、同じことが言えます。時代という時間の流れをただ受け入れる人生を選択するならば、不安は募る一方になります。時代が人生に与える影響は避けられません。

しかし、人生は時代だけで決まるものではありません。人生は自分のものであり、時間をどのように使うかは自分次第です。

新型コロナ禍によって世界は大きく変化し、現在は終息に向かっています。しかし、その間な私たちはただ感染しないことだけを考えて過ごしていたのでしょうか?

2年数ヶ月にわたる新型コロナ禍の間にも、時間は確実に進んでいました。私たちは歳をとり、人生も進みました。時代も進み、過去に戻ることはできません。

歴史的に見ても、人間社会は苦難を乗り越える時に、多くの発明や発見、新しい思考を生み出し、文明と文化を大きく変化させてきました。

元に戻るということは、社会の進歩や人間としての進化を否定することになります。新型コロナ禍の期間は元に戻るための「待機期間」ではなく、次の時代への「準備期間」でもあったのです。

 

新型コロナ禍で私たちが学んだ2つの教訓とは

 

新型コロナ禍を経験して、私たちは2つのこ教訓を学びました。

1つめは、世界的な危機に直面しても時間は確実に進み続けるということです。私たちは、感染拡大への恐怖や不安に押しつぶされそうになりながらも、日々の生活を送り、人生を歩み続けました。

2つめは、困難な状況でも行動しなければ何も変わらないということです。私たちは、新しい生活様式や働き方を模索し、様々な工夫や努力を重ねて、この危機を乗り越えてきました。

チャールズ・ダーウィンは、「最も強いものが生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。 唯一生き残るのは、変化できる者である。」という言葉を残しました。

確かに、変化した者は生き残っています。しかし、変化した者がすべて生き残るわけではありません。生き残るのは、時代の変化し適応した者のみです。

まったく変化しなくても生き残っているカブトガニのような生物もいますが、少なくとも人間は変化を繰り返し、その都度適応して現在に至っているはずです。

新型コロナ禍に際して「元に戻ること」は時間に対してはあり得ない願望だったのです。人間が時間を意識するようになってから現在まで、常に前に進んできたことを忘れてななりません。

変化に適応し、新しい時代を築き上げていくことが、私たちに求められていたのです。

 

自発的な変化の重要性と安全・安心・安定

 

人間は他の生物と大きく違う点があります。それは、外部の変化に対応するために自らも変化するだけではなく、意図的自らに変化を起こすことができることです。

例えば、「自分の生き方を考える」という発想は、他の生物にはありません。これは、人間が脳の発達によって思考能力を獲得したからこそ可能なことです。

日本では、小学校から高校にかけて「自分の在り方、生き方」を道徳教育として取り入れられています。「道徳」という科目がなくても、学校教育の基本理念に組み込まれています。

ところが、学年が上がるにつれて社会での職業を意識した教育が行われるようになり、「自分の在り方、生き方」よりも、社会が要求する「安全・安心・安定」を意識するようになっています。

これは、社会が複雑化し、将来の予測が以前よりも困難になったため、リスクを避け、安定した生活を送ることを重視するようになったと考えられます。

2023年の調査によると、80%以上の日本人が「変化よりも安定」を望んでいると回答しています。しかし、変化は避けられないものです。

「安全・安心・安定」が社会でより重要視されるようになり、社会の変化は求められなくなってきています。変化しない方がよいと考えるからこそ、新型コロナ禍の後には「元に戻る」ことを願ったのでしょう。

しかし、変化は避けられないものです。私たちは、自発的に変化を受け入れ、適応していくことが、未来を生き抜くために必要不可欠なのです。

 

 

「VUCAの時代」を説明して理解できる人は、VUCAでない時代を知っている人であって、VUCAが当たり前の若い層にとっては、実感としては理解できないと思います。
にもかかわらず、「VUCAの時代」という言葉に興味を持たない人は、圧倒的に高齢層だと感じます。
これではVUCAは深まるばかりかと・・。