人生100年時代の「人生後半戦」は、高齢社会で未来を創造する

日本の人口動態が示す未来への警鐘と覚悟

 

2024年1月の日本の人口は、速報ベースで下記のとおりです。
【2024年(令和6年)1月1日現在(概算値)】
<総人口> 1億2409万人で、前年同月に比べ減少  ▲66万人 (▲0.53%)

日本の高齢社会には、多くの問題点が指摘されています。

労働力人口の減少、高齢者の社会保障費の増加、出生数の低下などは、人口動態が変化したことに起因しています。

さらに、高齢社会とは直接関係のない深刻な問題もあります。

社会インフラの老朽化、地政学的なリスク、エネルギーと食料の輸入依存、世界経済の影響、自然災害への備えなどの問題を抱えています。

そして、新型コロナ禍では、「元に戻る」までじっと待つのではなく、変化する時代に対応して「自発的な変化」を行うということを学びました。

このような「今そこにある未来の危機」に対しては、「元に戻る」という考え方では対応できません。むしろ、危機対応のために変化を受け入れるという覚悟が必要になります。

ではどのように考えれば、変化を受け入れる考え方に変えられるのでしょうか。マスコミやメディアでは危機感を煽る論調が多くを占めますが、まずは事実を正確に知ることが必要です。

 

現状の問題と未来への課題への挑戦する時代へ

 

前述のような多くの問題を抱えた社会に私たちは生きています。しかし、すべての人が同じ考えで問題に向き合うことは不可能です。それぞれ生きている環境が異なるからです。

この記事では、多様な視点から問題に向き合い、未来を創造していくための方法について考えていきます。

そのためには、考え方は違っても、事実はすべての人にとって同じですので、まず事実を知ることから始めるようにします。

例えば、前述の「2024年1月の高齢化率29.2%」はすべての人にとって同じ情報になります。

しかし、高齢化率29.2%が高いか、高くないかと考えるのは人によって違います。この点を問題点として議論する必要はありません。事実は事実として共通の認識を持つことが重要です。

また、問題と課題の違いも事前に共通の考え方を持つ必要があります。ある人が問題だと思っても、別の人が問題だと思ってなければ、議論は進みません。

議論をするには議題が事実で、事実に対して問題と課題に分けることが必要になります。問題には答えを求めなければなりませんが、課題には答えではなく取り組みが必要という点で違いあります。

問題を定義しても、答えが1つだと限らないことも注意しなければなりません。そして、必ずしも100%の正解を求められるとは限らず、正解に99%の近さでも答えとする場合もあります。

これから人生後半戦を考えるうえで、多様な視点から議論することが重要です。異なる意見や考えを受け入れることで、より良い解決策を見つけるようにしなければなりません。

 

多様な視点で未来を創造 ~ 変化する高齢社会への対応

 

高齢社会は過去の時代の結果であり、これからも続くことは明らかです。しかし、高齢社会を構成する高齢者は時代によって大きく変化しています。現在の35歳の人が65歳になった2060年代の高齢社会は、現在の高齢社会とは異なる社会になるでしょう。

日本が高齢社会になることは1970年代に予測されていました。また、現在抱えている高齢社会の問題点は1990年代には指摘されていました。しかし、これらの問題点への対応は遅れており、現在も多くが課題のまま残されています。

高齢社会の一番の問題点は、未来への対応が遅れていることです。現在の高齢者への対応はもちろん重要ですが、同時に未来の高齢社会への対応を
も考えなければなりません。

高齢社会に対する現在の代表的な対応は、健康寿命の延伸、社会参加の促進、社会保障制度の改革があげられています。

これらの問題点への対応を行うと同時に、未来の高齢社会への対応も考えなければなりません。

未来の高齢社会の対応として、Quolity of Well-beingの充実、自立と共生の調和、国民負担率の公平化があります。高齢者だけではなく社会全体への対応が必要になります。

現在の高齢社会の問題点と未来の高齢社会への課題は、それぞれ異なる性質を持っています。これらの課題を混同することなく、それぞれの重要性を理解し、適切な対応が必要です。

 

時代とともに変化する人生を、柔軟な視点で「人生後半戦」にする

 

私たちは皆、65歳になると高齢者と分類される時が訪れます。これはWHOが定めた世界標準であり、国内でも一つの基準となっています。

人生の段階には、ユングによる「少年期、青年期、壮年期、老年期」という分類がありますが、さらに細かく分ける方法も存在します。

人生全体を見渡すと、年齢だけで区切られるものではないことが明らかです。様々な世代の人々がそれぞれの役割を果たし、社会を形成していくことが重要です。

本来、「人生後半」に年齢的な基準を設ける必要はありません。しかし、人生は時間の流れであり、その時間の流れとともに時代が存在することを忘れてはなりません。

時代が大きく変わると、人生の考え方を見直す必要があります。また、人生の節目でも時代との整合性を見直す必要があります。例えば、100年前に生まれた人と現代に生まれた人とでは、人生の過ごし方は大きく異なるでしょう。

人生100年時代の節目である50歳を境に、人生を前半と後半に分けることを提案します。そして、人生後半の見直しを「人生後半戦」として捉え、新たな視点から人生を考えてみましょう。

 

 

Name

「高齢者が未来を語ること」ができないのが高齢社会です。未来を語るうえで必要な知識の少なさと、未来という時代まで自分が生きていないと思っているからでしょう。
それでも、未来を語れる高齢者の話はおもしろいのですが、妙に現実的な話や陰謀論まがいの話になるときは笑ってやり過ごしています。

「未来を語る」とは夢のような社会の未来を語ることであって、自分が生きていようがいまいが関係のないことなんですけどね。