プロローグ(1):「シンプルワイズ」とは「シンプル+かしこさ」

01.「シンプルワイズ」の成り立ち ~「シンプル」が意味すること

 

「シンプルワイズ」とは「シンプル+ワイズ」、すなわち「シンプル(simple)」が意味する「簡素さ、容易さ」と、「ワイズ(wise)」が意味する「賢明さ、思慮深さ」を組み合わせた造語です。イントロダクションより

 

「シンプル」というカタカナ英語は日本語として定着しており、一般的なカタカナ語である。元々の意味は、構成要素が少ないことを表し、これに相当する日本語は「単純」です。

「単純」の意味を考えると、「単一」と「純粋」に分けて考えることができます。英語では「単一」がシングル(single)、純粋がピュア(pure)にな対応しています。

いずれも構成要素が1つであり、混ぜ物がないことを示します。また、純粋という意味で使う時は、物質的なことだけではなく感情にも適用します。これらは言語学的な解釈ではなく一般的な使い方です。

「シンプル」の単一的な側面だけを見ても、その意味は多様であり、前後関係や文脈からどのような意味で使っているかを推測する必要があります。

「シンプル」という言葉は広い意味で使われるため、他の言葉で他の言葉で置き換えられる場合は補足することで理解しやすくなります。

 

02.「シンプル」の使い方と広がり ~ 適切な選択をするために

 

「シンプル」についてもう少し詳しく説明しましょう。シンプル(simple)は形容詞なので、正しい訳は「単純な」です。基本的な意味である「構成要素が少ない」と考えると、他の意味も展開できます。(下欄参照)

1)単一の、純粋な、複雑でない
2)純粋な、素直な、気取らない
3)簡素な、質素な、飾り気がない
4)簡潔な、簡単な、難しくない
5)ただの、ふつうの、つまらない

「シンプル」は良い意味でも悪い意味でも使われます。シンプルの意味に共通する「少ない」という意味自体は良い意味で使われますが、「過度に少ない、少なすぎる」で使うと悪い意味になります。

「MECE」というロジカルシンキング(論理的思考)の基本とされる概念があります。「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」は日本語で「漏れなく、ダブりなく」と訳されています。(下欄参照)

「シンプル」も少な過ぎて、重要なことが漏れてしまっては本末転倒になります。「シンプル過ぎる」という否定的な表現は、不十分なだけではなく、重要なことまで省いてしまっているということになります。

情報社会と言われて久しいですが、近年の情報過多と多様性を認めようとする社会において、「要素を少なくする」というシンプルな考え方だけでは対応できない状況も増えています。

 

03.「シンプル」と「ワイズ(かしこさ)」を組み合わせた理由

 

近年の社会情勢を考えると「シンプル」だけでは時代の変化に適応できません。「シンプル」とはあくまで結果であって、重要なのは「シンプル」に至るまでの過程です。

「シンプル」という言葉から受けるイメージに欠けている側面を補うために、「ワイズ」と組み合わせることにしました。「ワイズ(wise)」は「かしこい」という意味です。

「かしこい」を表す英単語には、他にも「smart・intelligent・bright・clever」などがあり、それぞれ異なるニュアンスを持ちます。(下欄参照)

1)wise   :経験が豊富にあり、正しい選択ができる賢さ
2)smart  :頭の回転が速い、勉強ができる、生きる上での賢さ(アメリカ)
3)intelligent:知性がある、思考力や理解力がある
4)clever  :頭の回転が速い、機転がきく(イギリス)
5)bright  :将来性がある、賢い(子供や若い世代に対して)

上記の中で、このサイトが対象にしているのが人生後半の世代であること、語呂合わせが適していること、単語の意味が「シンプル」に適応していることから「ワイズ(wise)」を選びました。

現在も、これからの時代も、「シンプル」は仕事で、生活で、人生において重要な要素であることには変わりません。しかし、いつまでも「シンプル」だけでは時代に対応できません。このことを認識できれば「シンプルワイズ」という造語の意味を理解していただけると思います。

 

04. 人生後半における「かしこさ」と品格 ~ 相手をリスペクトする

 

「ワイズ(wise)」とは「頭の良さ」だけを意味しません。よく考えられた言動という意味での「賢明な」の他にも、良い意味での「博学な、経験豊かな」や悪い意味での「高慢な、狡猾な」などがあります。

このサイトは人生後半を迎えた人を対象にしています。私自身も同じ年代になって、自分と同じ年代や自分より年齢が上の方々と話したり、会合を持つ機会があります。。

折に触れて感じるのは、「途中経過には関心がなく結論を急ぎたがる」ということだ。話し手が順を追って話しても関心を示さず、結論だけを知りたがります。逆に、最初に結論を述べると、関心を持たないことには耳を貸しません。

人生後半になると話が長くなり、同じことを繰り返したり、集中力が低下するなどの特有の現象はありますが、会話を受け入れずに議論にならない状況では、話したり会合に参加する気になりません。

若い話し手に対しては理解できないという態度をとり、特にスマートフォン、デジタル、AIに関する話題では途中で話を遮ってしまうこともあります。同じ年代としてさえ恥ずかしく感じることさえあります。。

悪気がなくても、このような行動をとる方々は、人生後半”戦”というステージに到達することはできないだろうし、到達してほしくないと思うことすらあります。

「かしこさ」は品格を反映します。話が通じない人に共通するのは、自ら品格を失っているように見えます。このような振る舞いを続ける限り、「シンプル」の言葉は使えても、「ワイズ」の言葉は使えないでしょう。

 

これからは全世界的に高齢社会が通常の社会構造となっていきます。このような社会で生きていくためには、
できるだけ多くの人が「かしこく生きる」ことが極めて重要になります。