シンプルに考え、「結論と動機づけ」が行動へと働きかける

 

前回の記事では、「思考 → 結論 → 動機づけ → 行動 → 結果」の流れと、なぜ「シンプルに考える」かについてお話ししました。

今回の記事では、50歳からの人生を「人生後半戦」にするためには、「思考」を「シンプルに考える」に、「動機づけ」を肯定的な現在形で「〇〇〇を行う」に、行動を「〇〇〇ができる」についてお話しします。

 

人生後半と「人生後半戦」の違い

 

2024年1月の日本の人口(速報)では、50歳以上が49%、80歳以上が10%、高齢化率は29%になっています。

このような表現よりも、「2人に1人が50歳以上、3人に1人が高齢者、10人に1人が80歳以上です」と表現するのが「シンプルに考える」です。

「50歳を迎えたら人生後半」は50歳を基準にしています。でも、基準は40歳でも65歳でも構いません。「50歳」をことさら強調しても感じ方は人によって違います。

また、人生後半戦は「戦」に意味があります。人生はかつてより長くなり、人生後半からは新たなステージ、すなわち新たな思考と行動が必要になることを「戦」に託しています。

 

※「人生後半戦」については2024年1月度の記事を参照してください

 

シンプル思考ではなく、「シンプルに考える」にするために

 

1.シンプルの使い方を共通にする

「シンプル (simple)」の意味は、英語でも日本語でもほぼ同じです。大きく分けて次の3つの意味で使われます。言い換えや反対の表現にするとわかりやすくなります。

1)簡単(easy):易しい、難しくない、分かりやすい
2)少ない(few):要素が多くない、凝っていない
3)単純(plain):複雑でない、込み入っていない

このように「シンプル」は、構造や構成の要素が少ないことで、複雑でなく、理解しやすいという意味で使われます。遠まわしや、くどい表現、繰り返しなどは避ける必要があります。

 

2.「考える」と「思う」の共通点と違う点

「考える」も「思う」も内的な働きで、頭で考える、心で思うなどのニュアンスの違いがあります。

「考える」を論理的で継続的、「思う」を情緒的で一時的と分けることもありますが、実際には「考える」と「思う」を同時に、または意識せずに行っています。

この違いを理解しなければ、考えのゴールとなる「結論」を求めることは難しくなります。

 

3.「シンプルに考える

シンプルに考えるためには、下記の5つの事項がポイントになります。

A.情報整理と要約:複雑な情報を整理し、重要なポイントを抽出する
B.論理的思考:前提と結論を明確にし、筋道を立てて考える
C.創造的発想:既存の枠にとらわれず、自由な発想で新しいアイデアを生み出す
D.簡潔な表現:誰でも理解できるような簡潔な言葉で表現する
E.本質を見抜く力:表面的な情報に惑わされず、物事の本質を見抜く

このようなことは、シンプルに考えなくても重要なのですが、「シンプル思考」という定型的な思考法(フレームワーク、ツール)で分かりやすくなります。

a)情報整理と要約:ロジックツリーやKJ法など
b)論理的思考:フレームワークや思考ツールを紹介
c)創造的発想:マインドマップやオズボーンのチェックリスト
d)簡潔な表現:マトリックスやフローチャートなど
e)本質を見抜く力:5W1HやMECEなどのフレームワーク

ひとつひとつを例をあげて説明することは、この記事では行いませんが、別記事で説明を行います。

私が思考の整理に使うのは、ロジックツリー、マトリックス、フローチャートの3つです。

 

「シンプル思考」は、「シンプルに考える」の基本になる

 

思考の整理のための「シンプル思考」は、整理することがゴールになるため、作業が中心になります。整理された情報やデータを元に結論を導きます。

シンプル思考の特徴は、結論を出すために単純化を行うため、的外れな情報や極端なデータは思考の中に取り入れられません。つまり、情報やデータの偏りを結論とする傾向があります。

「シンプルに考える」も思考の整理の作業の段階までは同じですが、整理した情報やデータを俯瞰し、どの部分に焦点を当てるか決めて考えます。

必ずしも、偏りを結論とするのではなく、現在の社会や自分に最適の場所について注視します。なぜなら、思考の結論の次に控えている動機づけと行動につなげなければならないからです。

どんなに論理的に考え、シンプルな結論を導いたとしても、行動に結びつけられなければ、最終目的である「結果」に結び付けられません。

このような場合は、再考するか、中断するかも選択肢の1つになります。

 

「シンプルに考える」の後には「動機づけ」を行う

 

「シンプルに考える」は「行動」に結び付けるには「動機づけ」が必要です。動機づけには、外発的動機づけと内発的動機づけがあります。

外発的動機づけ
・インセンティブ(報酬):金銭的な報酬、賞賛、昇進など
・危機感:失敗や罰への恐怖によるネガティブな結果
・義務感:社会的な責任や役割を果たすため
・社会的な習慣・慣習:周りの人がやっているからという理由

内発的動機づけ
・好奇心:周りの人がやっているからという理由
・インスピレーション:人や物事から刺激を受けたとき
・衝動:理屈ではなく、感情的に行動を起こしたい
・個人的習慣:自分にとって心地よい、楽しいという理由
*チャンス:自分の可能性や課題を見つけたとき
*貢献:誰かの役に立ちたい、自分の存在価値を感じたい
*は外部との関係によって発生する

 

1つだけではなく複数の動機づけが「行動」の要因になることもありますし、動機づけがうまくいかずに断念することもあります。

シンプルに考えることと動機づけを組み合わせることで、より効果的に結果へと導くことが可能になります。

 

人生後半戦では、外発的な動機づけよりも内発的動機づけが必要であり、外部との関係よりも「自分がどうしたいか」を常に自身に問い合わせることが重要です。

そのためには、「(自分が)〇〇〇を行う」と現在形の肯定表現をすることで内発的動機づけになります。

さらに、次回の記事でお話しする「動機づけによる最初の行動」を「(自分が)〇〇〇ができる」という表現で「結果」を意味します。

 

 

「シンプルに話してくれ」というので、わかりやすく丁寧にはなしたら、「もっと手短に」と言われた。
手短に結論を話すと、「それではシンプル過ぎてわからない」と今度は言われた。
知識のレベルの違いではなく、話す相手が何を望んでいるのかを伝えるのは重要なのはわかるが、
こういう人は現在のレベルのAIは使えないだろうなと思い、こちらから質問しながら話している。
ある意味、AIにプロンプトを打ち込んでいるのと同じだ。