シンプルに考えることは、人生後半戦を豊かにする上で重要なスキルです。これからの人生の中でも、さまざまな課題や選択を迫られますが、複雑に考えすぎると混乱してしまいがちです。
そこでシンプルな発想で物事を整理し、本質を見極める力が求められます。
シンプルに考えられるようになれば、モノや情報の入れ替わりが激しい現代社会でも迷いなく生きていけます。必要以上にストレスを抱え込まず、大切なことに集中できる心の余裕が生まれます。
さらに、自分らしい価値観を持ち続けられるので、人生後半戦の本当の価値を見失うこともありません。
そこで本記事では、「シンプルに考える」ための具体的なステップを解説していきます。まず第一歩として、対象を明確にすることからはじめましょう。
1.対象を明確にする
シンプルに考えるために、まず行うべきことは、「対象を明確にすること」です。
「何をシンプルにしたいのか」を示すことができなければ、考えることも、実行することもできません。対象が曖昧では、短絡的で、思いつくままになってしまいます。
できるだけイメージを具体化できるように、普段から頭に浮かぶイメージを記録しておくようにします。断片的なイメージでも、数が増えれば全体像が見えてきます。
人生後半戦でやりたいことなのか、仕事の仕方なのか、毎日の暮らし方なのか、というようにです。写真のような細切れのイメージでも、やがて動画のようにつながります。
2.情報を収集する
対象は最初から明確になることは少なく、考えているうちに明確になってくる場合が多いと思います。ただし、明確になってくるスピードが人によって違います。
この違いは情報の収集力と選択力によって変わります。情報収集力は、多くの情報に接することが必要です。ときには、運よく最も良い情報に最初に巡り合うこともありますが、稀にしかありません。
例えば、日々のニュースや雑誌、ウェブサイトなどで情報収集をしていると、たまたま運よくピンと来る記事に出くわすかもしれません。こういった偶然に頼るだけでは情報収集が不十分です。
3.情報を選択する
ポイントは、収集した情報の中から良い情報を見出す力です。最初はいくつかの情報に絞り込んで関連情報を集めるようにします。
例えば、「旅行の過ごし方」について情報を集める場合、まずは旅行ガイドやネット上の記事から手がかりを得て、そこから興味のある分野の本を読んだり、ブログを探したりして掘り下げていきます。
パソコンやスマホで情報を集めるには、スクリーンショットで切り取り、Googleドキュメントなどに張り付けてススクラップブック代わりにすると、後で選別することも可能です。
大切なのは、漠然と情報を集めるのではなく、自分なりの関心のあるテーマを設定して、焦点を当てて収集し、選別していくことです。
4.客観的に自分の姿をイメージする
「具体的なイメージ」を描き、「情報の収集と選択」を行った上で、次は自分自身がそれらにどのように向き合っているのかを客観的に見つめ直す段階に入ります。
ただイメージを膨らませたり、情報を集めるだけに没頭しているのではなく、それらを自分にあわせて再構築できているかを冷静に評価する必要があります。
情報収集を楽しんでいるだけで、本当に自分に合ったものになっていないという違和感を覚えたら、イメージの描き方や情報の選別の仕方を見直す必要があるかもしれません。
客観的な視点を持つことで、主観に囚われすぎず、自分の考え方や行動を適切にチェックできます。シンプルな生き方を実現するには、こうした客観性が不可欠です。
自分自身を常に俯瞰的に眺め、偏りのない冷静な自己評価ができるよう心がけるようにします。それが「シンプルに考える」うえで欠かせない姿勢です。
5.シンプルに考える軸をつくる
「シンプル」にはいくつかの意味があります。人によって違いますが、その中で代表的な3つを選びます。私は「少なく、わかりやすく、自分らしく」を選びました。
したがって、「シンプルに考える」とは、要点を絞り込むこと、覚えやすいこと、自分に合っていることと言い換えることができます。
この3つのことをすべて満たすように考えることによって、考えた結果もシンプルになります。「シンプル」の意味を3つに絞り込むことによって考え方の軸を作ります。
1)少なく
シンプルなことをシンプルに考えることは難しくありません。複雑なことをシンプルに考えることが難しいのです。
複雑なことをシンプルにするためには、複雑に絡み合っている要素を解きほぐします。表面的にはシンプルに見えることも、裏側には多くの要素が隠れていることもあります。
多くの要素を見える形にし、同じ種類の要素をまとめ、複数の要素を1つの要素としてまとめることで、複雑さの原因がわかりやすくなってきます。
そして、本当に必要な要素は何かを見極め、不要な要素の優先順位を下げることで、シンプルな形に近づけていきます。
2)わかりやすく
シンプルに考えた結果を分かりやすく表すことができなければ、シンプルに考えるの目的を達成したとは言えません。
わかりやすく表すためには、短文を中心に、複文で表すときにはできるだけ短く、重文を使わないなどの構成を考えます。
平易な言葉で表せないときは、たとえ話も有効ですが、誤解を与えないように注意が必要です。カタカナ語や略語は相手を考えながら的確につかんわなければなりません。
わかりやすくは、説明を受けた人が、そのまま他の人にも伝えやすいようにすることと心がければよいと思います。
3)自分らしく
「シンプル」の意味には、平凡な、単純な、という意味でつかわれる一方で、正直な、飾らない、という意味もあります。
シンプルに考えた結果は、ともすると多くの人が導き出すような結果になってしまいます。ただし、自分らしい結果を導き出すことも大切です。
「自分らしく」とは、奇をてらった考え方ではなく、見る角度、考え方の順序など、いろいろ考え方を行い、その結果、もっとも自分に合った考え方をいいます。
「シンプル」は多くの人に受け入れられやすい考え方である一方で、個性的な考え方が基調になっているのです。
「シンプルに考える」は私たちの身の回りを変える
仕事、生活、人間関係をシンプルに考える
「シンプルに考える」は、仕事や生活について当てはまる以外に、個人的なことから人間関係まで広く当てはめることができます。
仕事面では、会議や移動についての時間管理をシンプルに考えることによって、会議時間や移動時間の短縮につながります。例えば、出席者数や議題数の限定、AIによる議事録の作成などが考えられます。
生活面では、シンプルライフというライフスタイルの通り、モノを少なくし、家事を自動化することによって、自分や家族の時間を増やすことができます。
また、自分のやりたいことを明確にすることによって、時代に合った自分らしさを追求することができます。個性が発揮できれば、自ずと意思が通じやすい人間関係を築くことができます。
社会と経済をシンプルに考える
日本の経済は、バブル経済以降の停滞期を迎えたと言われています。この期間に節約を目的としたシンプルな考え方が中心になったような気がします。
その一方で、人口減少し空き家問題が発生している一方で、高層ビルによる都市開発が進んでいます。高齢社会を衰退社会だという論説も多くあります。
日本は成長経済から成熟経済に入ったと考えられますが、成熟経済では過去の複雑な構造をシンプルにする考え方が必要になっています。
高齢者が年金で暮らす時代は、シンプルに考えれば、過去の構想であり、現状を反映した未来の構想を考えなければなりません。
このように「シンプルに考える」は、単純明快ではなく、時間をかけてシンプル化を促す考え方とも言えます。
未来に向けてもシンプルに考える
人間社会は生産と消費によって発展してきました。これからの社会はモノの生産と消費ではなく、モノ以外の生産と消費を考えることが、成熟した経済にも社会にも必要になります。
モノを増やすだけでなく、体験やサービス、時間そのものを消費する機会が増えてきています。つまり、モノだけでなく、コト(体験)やトキ(時間)を生産・消費する時代が到来しているのです。
今までの社会構造から変化を遂げるためにも「シンプルに考える」は重要な方法の一つだと思います。
よく使われる言葉に、エコ、ナチュラル、スタイリッシュ、ミニマルなどがある。
これらは好みではなく、考え方の違いだと思う。好みは変わることはあるが、考え方はかわらない。